《ニュース》

政府は、国の防災対策を主導する「防災庁」を2026年度中に設置する方針を掲げています。6月にまとめる「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に明記する意向です。

《詳細》

防災庁は石破茂首相の肝入りの政策で、昨年11月に「設置準備室」が内閣官房内で発足されました。防災や災害対応の司令塔とし、南海トラフや首都直下型地震といった大規模災害に備える「事前防災」を強化することを主な目的としています。

防災にかかわる国の機能は現在、内閣府防災担当が担っています。ただ、他省からの出向が多く2~3年で異動するため、専門性が蓄積されにくいことが問題視されてきました。そこで政府は、予算・人員を増やし、平時から備えられるよう専任の大臣を置くなど、危機管理体制の強化に向けて議論を進めています。

また、関連省庁や自治体に指導や勧告を行える権限も持たせ、災害時には、関係機関を統括する司令塔機能を果たすとしています。

一方、石破首相の「防災庁」構想に対しては、疑問や懸念の声も多く上がっています。災害時には、内閣府防災担当だけでなく、国土交通省や気象庁、消防庁(総務省)、防衛省、警察庁などが動くため、「組織を増やしても混乱するだけ」「屋上屋を架す」などと指摘されています。2015年に同様の構想が議論された際にも、関係副大臣会合がまとめた報告書では「積極的な必要性は見いだしがたい」として見送っています。

その他、「組織ありきで、議論が足りない」「具体的な役割や構想が見えない」など、庁創設の理念だけが先行していることも問題視されています。

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