2025年7月号記事
第13回
釈量子の宗教立国への道
幸福実現党党首が、大川隆法・党総裁による「新・日本国憲法 試案」の論点を紹介する。

幸福実現党 党首
釈 量子
(しゃく・りょうこ) 1969年、東京都生まれ。國學院大學文学部史学科卒。大手企業勤務を経て、幸福の科学に入局。本誌編集部、常務理事などを歴任。2013年7月から現職。
釈量子のブログはこちらでご覧になれます。
https://shaku-ryoko.net/
第九条
新しい時代の公務員の使命とは
新・日本国憲法 試案〔第九条〕
公務員は能力に応じて登用し、
実績に応じてその報酬を定める。
公務員は、国家を支える使命を有し、
国民への奉仕をその旨とする。

憲法試案〔第九条〕は、新時代における公務員のあり方を再定義する条文です。
まず前提として押さえたいのは、大川総裁が「私は、公務員そのものが悪いとは思っていません。十分に機能していれば、それは大事な国家の背骨になります」と語っていることです(*1)。これは2009年、当時の民主党が「政治主導・脱官僚」を訴えていたことを念頭に置いた言及です。
1989年の大蔵省接待汚職事件に端を発し、近年の「財務省解体デモ」に至るまで、官僚への不信感は年々強まり、わが党も特定の省庁に厳しく問題提起することもあります。
しかし、官僚は専門知識を持った「参謀組織」であり、その意見を聞かずに「政治主導」と言って素人考えで判断すると、失敗することも数多くあります(*2)。こうした重要な機能を踏まえた上で、「感情的な官僚否定」ではなく、厳しくも建設的な改革案を示しているのが、この条文です。
(*1)『政治の理想について』
(*2)『危機に立つ日本』
公務員給与の"変動相場制"
「能力に応じて登用」というのは、採用試験で能力判定した後も、仕事ぶりによって昇格させ、入省年次にとらわれないキャリア制度にするということです。現在、霞が関でも能力評価を取り入れる動きがありますが、より民間レベルに近い査定を行い、憲法に明記し制度の柱にする構想です。問題を起こしたり、成果が上がらなかったりした場合は、従来のように「外に転出」という形でお茶を濁さず、民間並みの降格もあり得ます。
「実績に応じてその報酬を定める」も、一定の年齢で必ず上がる年俸制度を改めることを意味します。
さらに公務員全体の給与水準についても、経済・財政状況と連動させることを、検討すべきです。
現在の公務員給与は、建前上は「民間の水準を反映している」ことになっています。しかし実際は、一部の大企業に合わせたものであり、官製賃上げなども相まって、平均給与の「1.5倍」になっていることが批判されています(*3)。中小を含む多数の企業や国民が不況にあえぎ、政府債務は1300兆円にまで膨れ上がる中、一般企業ではあり得ない待遇です。
これを景気や財政などと紐づける"変動相場制"にし、公務員が民間経済を発展させる方法を真摯に考えるようになる仕組みが求められます。
(*3)国家総合職含む行政職の平均年収と、民間企業勤務の給与者所得平均との比較。
公務員の使命は国の発展段階によって変わる
その観点からも重要なのが、後段の「国家を支える使命」「国民への奉仕」という言葉です。ここには、国家の背骨たる自負を持ちつつも「公務員はサービス業の一種」「国民へのサービスが基本」であると強調する意図が込められています。
特に今の時代においては、「国民の生活や仕事を阻害するようなことであってはいけない」ことを意味します(*4)。
大川総裁は、「理想の公務員像は、その国の発展段階によって違ってきます」と語っています。公務員が力を持っているのは発展途上国であり、国や産業を立ち上げる段には、公務員の遺伝子は「民間を引っ張っていくこと」が中心となります。日本も高度成長期には「通産省の奇跡」などと言われたこともありました。
しかし次の時代には、公務員は「民間の邪魔をしない」ことが求められ、さらに次の段階では民間の活動が花開くよう「アシスト」することが求められます。そしてそれが出来ないのであれば、「そもそも公務員を削減していくほうが成功しやすい」という考え方が出てくるといいます(*5)。
公務員に仕事能力を高める動機を与えつつ、経済発展などと報酬を連動させる。「書類審査を滞らせて民間事業にブレーキをかける」といった問題を減らし、行政速度を加速させる。さらに、ここまで政府機能が肥大化・硬直化し、政府倒産寸前となっている今、行政を適正サイズ(小さな政府)に「減量」し、優秀な人材がより民間に配分されるようにする──こうしたことも、大きな意味において「国民への奉仕」になると言えます。