《ニュース》

和歌山県白浜市のレジャー施設「アドベンチャーワールド」が、飼育しているパンダ全4頭を中国に返還すると発表しました。4頭は6月末頃に四川省のジャイアントパンダ繁殖基地に帰国する予定といいます。

《詳細》

返還される4頭は24歳の良浜(ラウヒン)と、その子で8歳の結浜(ユイヒン)、6歳の彩浜(サイヒン)、4歳の楓浜(フウヒン)。いずれもメスで、アドベンチャーワールドで生まれています。

日本国内にいるパンダは繁殖研究のためとして中国から貸与されており、レンタル料は年間1億円前後。所有権は日本で生まれたパンダも含めて、中国にあります。和歌山の4頭については貸与契約が8月に満了を迎えることを受けて協議したところ、6月末に中国に返還されることが決まりました。

24歳の良浜に関しては、中国の専門家から、高齢期に差し掛かっていることから中国で穏やかに過ごすことが望ましいという意見が出たことから、返還が決まったといいます。また、3頭の子は将来の繁殖を目指し、中国でパートナーを探すとしています。

2023年にオスの永明(エイメイ)が中国に帰還して以降、園内ではメスのみになり、繁殖できない状態となっていました。そのため、和歌山県は中国を訪れてオスのジャイアントパンダの貸与を要望するなどしていました。和歌山県は今後も、新たなパンダの貸与を求めるといいます。

4頭が帰国すると、日本国内のパンダは上野動物園の暁暁(シャオシャオ)、蕾蕾(レイレイ)の双子の2頭のみとなりますが、こちらも協定期限は2026年2月20日までとなっています。東京都も、中国と新たなパンダを呼ぶ交渉をしたいとの意向を示しています。

なお、和歌山のパンダ返還の発表に先立ち、23日には日立市の動物園にパンダを誘致してきた茨城県が、中国・陝西省と友好関係の発展に関する覚書を締結したと発表しました。17~20日に大井川和彦知事が訪中して締結したもので、ジャイアントパンダの保護などで交流を強化していくとしています。

アドベンチャーワールドで国内随一の数のパンダが飼育されてきたのは、和歌山県選出の国会議員である二階俊博氏が中国との太いパイプを持つことが影響しているとみられてきました。24年8月に二階氏が訪中した際、王毅外相は日本へのジャイアントパンダ貸与について「自分の責任で送りたい」と意欲を示していたと報じられています。

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