2024年11月号記事

ニッポンの新常識

軍事学入門 52

米中貿易戦争を検証する

世界の流れを正しく理解するための、「教養としての軍事学」をお届けする。

沈明室

台湾国防安全研究院
国家安全研究所所長

沈 明室

(シェン・ミンシー)台湾国防大学で政治学博士号を取得し、2021年より現職。淡江大学国際事務與戦略研究所准教授も兼任する。元台湾国防大学戦略研究所所長。人民解放軍の研究などを行う。

米中貿易戦争が始まってから6年が経ちました。米大統領選でいずれの候補が勝利しても、その路線は基本的に踏襲されると見られます。その意味で、「貿易戦争を仕掛けたトランプ前政権は歴史的転換点をつくった」と言えます。

この戦争の成果を検証すると、主な中身は(1)中国からの輸入製品に関税を課し、アメリカの対中貿易赤字を減らすこと、(2)先端技術の中国への流出を防止することです。