《ニュース》

国民1人当たり平均月450円を徴収する「子ども・子育て支援金」制度の創設などを盛り込んだ「子ども・子育て支援法等改正案」について、衆議院本会議での審議が2日から始まりました。

《詳細》

政府は2023年末に「こども未来戦略」を閣議決定し、28年度までに約3.6兆円の安定財源を確保すると発表していました。「児童手当の所得制限撤廃」や「育休給付の増額」などを盛り込み、その財源として、1兆円程度の支援金のほか、約1.1兆円の社会保障の歳出改革や、その他1.5兆円の予算の活用を見込んでいるとしています。

そのうち支援金については、医療保険料に上乗せする形で財源を確保するといい、28年度時点での加入者1人当たりの月額平均が450円となる試算を発表。1兆円に達する28年度までは、返済の財源が決まっている「つなぎ国債」(借金)を発行して、不足分を補うといいます。

しかし、この支援金制度は「事実上の子育て増税だ」「医療保険に上乗せするのは筋が違うのではないか」などの批判が相次いでいます。

また、保険制度によって負担額が異なり、「後期高齢者制度」で平均350円、サラリーマンらの加入する「被用者保険」で平均800円となるため、不公平感が広がるという懸念もあります。

岸田文雄首相は、支援金を導入しても社会保障の歳出改革や今春以降の賃上げにより、「国民の実質的な負担は生じない」と説明しています。しかし、「説明が分かりにくい」という声が上がっており、「複雑な説明や計算式を作って国民にわからないようにして、財源だけを集めようという魂胆が透けて見える」といった批判が出ています。

岸田政権の「異次元の少子化対策」をめぐっては、その効果を疑問視する声が相次いでいますが、政府が30年以上にわたって進めてきた政策自体に効果がなかったことが明らかになりつつあります。

《どう見るか》