2024年4月号記事

ニッポンの新常識

軍事学入門 45

460万人以上を汚職捜査する習近平政権

世界の流れを正しく理解するための、「教養としての軍事学」をお届けする。

劉振興

台湾国防大学兼任助教授

劉 振興

(りゅう・しんこう) 台湾生まれ。台湾の政治作戦学校と国防大学政治研究所卒。政治学博士。現在は国防大学、国立空中大学の兼任助教授(非常勤助教授)を務める。

中国では昨夏以降、人民解放軍の高官らが大規模な汚職に関わった疑惑の捜査を受け、摘発が相次いでいます。

昨年10月に李尚福・国防部長(国防相)が解任され、12月には核兵器やミサイルを運用する「ロケット軍」や装備調達部門の将軍など9人が同様に処分されました。そのほか、国営軍需企業の幹部も同時期に解任されています。

汚職が軍の先端技術開発やサプライチェーンにまで及ぶ深刻さが浮き彫りとなり、習近平政権は一罰百戒として、関連部署の幹部を一斉に解任したと見るべきです。特にロケット軍は、習近平・国家主席の肝入りで新設した軍事部門であり、同氏の「本気度」が示されています。よって今後も膿を出し切ろうと摘発していくでしょう。