アジア太平洋交流学会会長・目白大学大学院講師
澁谷 司
(しぶや・つかさ)1953年、東京生まれ。東京外国語大学中国語学科卒。東京外国語大学大学院「地域研究」研究科修了。関東学院大学、亜細亜大学、青山学院大学、東京外国語大学などで非常勤講師を歴任。2004年夏~05年夏にかけて台湾の明道管理学院(現・明道大学)で教鞭をとる。11年4月~14年3月まで拓殖大学海外事情研究所附属華僑研究センター長。20年3月まで、拓殖大学海外事情研究所教授。著書に『人が死滅する中国汚染大陸 超複合汚染の恐怖』(経済界)、『2017年から始まる! 「砂上の中華帝国」大崩壊』(電波社)など。
昨年3月22日、フィリピンのマルコス・ジュニア大統領は2014年に米国と締結した「防衛協力強化協定」(EDCA)に基づき、同国に新たな4つの米軍基地建設を承認したと明言している(*1)。
同大統領は、基地の一部は北部、一部はパラワン島付近、一部は台湾付近に設置されると述べた。
「米比防衛協力強化協定」は、共同訓練、装備品の準備、滑走路、燃料貯蔵所、軍用住宅等施設建設のために、米国がフィリピンの基地にアクセスすることを認めている。地元のフィリピン人の中には、米中が台湾をめぐって衝突すれば、基地周辺の地域が紛争に巻き込まれることを恐れて、マルコス氏の決定に反対する者もいた。けれどもマルコス氏は、米国との協力関係を拡大する重要性と、なぜこの協定が彼らの地域にとって有益なのかについて地元の人々と話し合った、と語っている。
(*1)2023年3月21日付『地球大観』
「南シナ海を中国の湖にしようとする試み」
さて、前述の基地建設の合意が発表された後、約9カ月経った昨年12月、マニラは中国海警が南シナ海のセカンド・トーマス礁への補給のため、フィリピン海警隊の船舶2隻と巡視艇に高圧水ジェットを発射したと非難した(*2)。更に、フィリピンの補給船に深刻な損害を与え、別の補給船も中国海警の船舶に衝突されたと説明している。