《ニュース》
「イランの代理部隊が各所で攻撃を始め、イランの核開発計画も突然復活した。イランは西側諸国に新たな挑戦を突きつけている──そして今回はロシアと中国が味方している」とする記事を、10日付米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)が掲載しました。
《詳細》
NYTの報道によると、米バイデン大統領と国家安全保障担当の側近らは昨年夏、イラン側と秘密会談を行い、イランの凍結資金60億ドルの口座移管と一部のイラン人捕虜解放と引き換えに、投獄されているアメリカ人5人を釈放するという協定を結んでいました。
というのも当時、イランが資金や武器を提供しているパレスチナ自治区のハマス、レバノンのヒズボラ、イエメンのフーシ派などの過激派武装勢力は比較的静かにしており、戦闘の可能性は十分抑えられていると考えられていました。またイランも地下核施設でのウラン濃縮ペースを遅らせていました。
しかし、10月7日のハマスによるイスラエル攻撃とイスラエルの反撃によって、事態は一変しました。
昨年11月中旬以降、紅海近辺でフーシ派による商船の襲撃が相次いでいます。米英軍などはフーシ派が発射したミサイルや無人機を撃墜して、石油タンカーが紅海ルートを利用し続けられるようにし、イランとも対峙している状況です。このように、イランの"代理部隊"は、紅海、レバノン、イラクなどあらゆるところで多くの攻撃を仕掛け、米軍とも直接衝突しています。
そして、イランの核開発計画も突然強化されました。国際原子力機構(IAEA)は昨年12月下旬、イランがウランの濃縮度を兵器級に近い60%にまで高めるペースを再び加速させているとの見解を示しました。大まかに見積もっても、イランは現在、少なくとも3つ分の核兵器用燃料を保有しているといい、アメリカの諜報関係者はその燃料を核兵器級用に変えるための濃縮にはわずか数週間しかかからないと考えています。
NYTは、「ロシアのウクライナ侵攻以来、イランはもはや孤立していない。かつて国連安全保障理事会はイランの核開発計画を制限しようとするアメリカを支援していたが、イランは、その国連安全保障理事会の加盟国であるロシアと中国の両国と突然、ある種の同盟関係を結んだ。(中略)イランは突然、2つの超大国を同盟国としてだけでなく、(武器や石油などを輸出することで)制裁を破る顧客として持つことになった」と指摘しています。
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