《ニュース》

イギリスで、LGBTQをめぐる制度が「法の抜け穴」をつくっていると批判が集まっています。

かつて娘に性的虐待を行った父親が、服役中に性別を「女性」に変えたことにより、合法的に「別の人間」として仮釈放されていることが報じられました。

《詳細》

被害者である娘のキャリー・リー・ギャルビン(Ceri-Lee Galvin)さんが告発し、英デイリー・メール・オンラインが4月26日に報道。同紙は改めて7月18日にも、ギャルビンさんの告発を報道しました。

4月の初報道後、ギャルビンさんは英保守系放送局や英タイムズ紙傘下のラジオによる取材に答えるなど、注目が集まっています。

ギャルビンさんは8歳の時から9年間にわたり、父親のクライブ・バンディ(Clive Bundy)氏から性的虐待を受けたといいます。バンディ氏はギャルビンさんの裸の写真をインターネット上にあげ、小児性愛者と取引していたとのこと。警察がインターネット上で画像を発見したことで逮捕に至り、その後バンディ氏は、ギャルビンさんとの性行為、児童への性行為先導、わいせつ画像頒布などの罪で起訴され、本人もそれを認めたとのことです。

バンディ氏には2016年、15年の実刑判決が言い渡されましたが、7年服役した後、現在は仮釈放されているといいます。

問題視されているのが、バンディ氏が服役中に性別を女性に変え「クレア・フォックス(Claire Fox)」と名乗り始めたことにより、犯罪歴が覆い隠され、仮釈放が早まった可能性すらあることです。

ギャルビンさんが父親の状況を知ったのは2021年。警察側から連絡を受け、父親が今は自身のことをクレア・フォックスとして認識しており、被害者である娘にそのことを「知らせる許可を本人が出したため」、ギャルビンさんへ連絡がなされたと説明を受けたとのこと。つまり、もし父親が知らせる許可を出さなければ、何食わぬ顔でギャルビンさんに接触することも可能であったということです。

刑務所から化粧や女性用衣服などを与えられたフォックス氏は、自分の過去を知らない街で仮釈放状態にあるといいます。

ギャルビンさんによる一連の告発により、性犯罪者が性別を変更することで、事実上、犯罪歴を白紙に戻すことができると懸念の声が高まっています。

というのもイギリスでは、「Disclosure and Barring Service(前歴開示および前歴者就業制限機構)」と呼ばれる政府系機関が、犯罪歴をデータベース上で管理しており、特定の仕事に就く際には、過去に性犯罪を行っていないことを証明する「無犯罪証明書」の提出を求められます。しかし、新しい名前や性別を選択した後では、犯罪歴の確認が困難になり得るとのことです。

性別の変更が容易に認められる現行の法制度により生じた、「法の抜け穴」ではないかと、問題解決を求める声が高まっています。

フォックス氏が7年間の服役で仮釈放されたことについても、性別の変更により服役環境について本人の希望が通りやすくなったため、経費などの事情によって結果的に刑期が短くなった可能性が指摘されています。

服役中に性別を変えた性犯罪者は、フォックス氏が初めてではないとのことです。

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