2023年7月号記事

バイデン政権下で進む世界の二分化

今、中東で何が起きているのか

冷戦構造の最前線にある中東の動向を探った。

ロシア・ウクライナ戦争を契機に世界が分断される中、冷戦構造が激化している地域がある。それが中東だ。

これを象徴的に示したのが、中国の仲介でイランとサウジアラビアが、3月に国交を回復した"事件"である。両国間の溝は深かっただけに、世界中がこの歴史的合意に目を見張った。

1979年のイスラム革命後、イランが世俗主義国家からシーア派のイスラム主義による国家建設を成し遂げ、王政から体制は一変した。世俗的な王政を取るサウジは、次第にイランと距離を置き始めた。

「アメリカに死を!」をスローガンに掲げ、あからさまな反米路線をとるイランに、サウジが同調することも難しかった。

さらに2016年、サウジ当局が国内に住むシーア派の宗教指導者ニムル師を斬首刑で処刑すると、イランの首都テヘランで群衆がサウジ大使館等を襲撃。これをきっかけに、サウジはイランと断交した。

 

 

次ページからのポイント

深まる東西の対立構造

バイデン氏の失策が招く中東の核武装競争

イランの女性たちは自由を求めている