《ニュース》
ロシアが12月に、中国・福建省霞浦(かほ)県の長表島に立つ核関連施設に核燃料であるウランを大量に運んでいたと、米ブルームバーグが3月1日に報じています。
《詳細》
ブルームバーグによれば、長表島で建設中である大型の高速増殖炉「CFR-600」が今年運転を開始できれば、兵器用のプルトニウムを生産でき、北京が進める核戦力の増強に役立つといいます。
中国は、原子力発電所の使用済み燃料からプルトニウムを分離し、それとウランを混ぜた混合酸化物燃料を製造し、高速増殖炉に利用する計画を進めています。高速増殖炉は、核兵器に転用できる核物質プルトニウム239を容易に取り出すことができます。
中国は核兵器不拡散条約(NPT)において核兵器保有を認められた国であるため、国際原子力機関(IAEA)による査察が義務づけられていません。そのため、活動が不透明な状況となっています。
笹川平和財団研究員の小林祐喜氏は同団体のサイトで、「CFR-600(2基)が予定通り運転開始すれば、これだけで年間最大330キログラム超の兵器用プルトニウムを獲得できると見込まれ、(中略)累積量は核弾頭830発±(プラスマイナス)210に相当」と指摘します。この施設のみで、核弾頭が600~1000発程度増える可能性があるというのです。
ロシアからウランを入手して中国が核弾頭を増産すれば、東シナ海での戦力バランスを不安定化させることは確実です。
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