《ニュース》
ロシア―ウクライナ戦争が膠着状態に入る中、南部・ヘルソン州行政機関トップであるウォロディミル・サルド氏がこのほど、クリミア半島とロシア本土を結ぶ高速道路(ジャンコイ―ロストフ・ナ・ドヌ間)の調査活動が進んでいることを明らかにしました。道路が建設されれば、ロシアが戦略目標に位置付けていると見られる「クリミアとロシアを繋ぐ陸の回廊」が実現することになります。
《詳細》
新しい高速道路の建設計画は、クリミアのジャンコイから南部の要衝メリトポリ、ベルジャンスク、マリウポリを経由して、ロシア本土のロストフ・ナ・ドヌを繋ぐ予定です。すでにロシアは、メリトポリとベルジャンスクの老朽化した道路を修復。メリトポリとジャンコイを結ぶ道路の主要部分の工事を1月に着工し、年内に終わらせる計画であると報道されています。
クリミアとロシア本土はクリミア大橋で繋がってはいるものの、ウクライナ軍と見られる攻撃で道路の一部が崩落し、ロシア軍の物資輸送などに影響が出ました。ロシアがクリミアを陸路で繋げられれば、兵站能力を大幅に強化でき、ウクライナ軍の南部地方の奪還作戦を困難にさせるのは間違いありません。
ウクライナのネットメディア「リア・メリトポリ」は、「プーチンの夢であるクリミアへの陸路が実現しつつある」と報じ、ロシアが道路を防衛するために周辺地域の要塞化も同時に進めていると指摘しています。
ロシアの作戦を指揮するスロヴィキン将軍が進める南部の要塞化により、英紙「フィナンシャル・タイムズ」はこのほど、ウクライナの反撃作戦が成功する可能性が減少する恐れがあるとも報じていました。
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