幸福実現党は11日、岸田文雄内閣総理大臣宛てに、「マイナンバー制度の利用拡大の中止を求める要望書」を提出した。釈量子党首が内閣府を訪れて提出したもので、要望書は内閣府を通じて厚生労働省にも提出したほか、同党本部からデジタル庁にも同様の要望書を提出している。
政府は10月、現行の健康保険証を2024年秋に廃止し、マイナンバーカードに一体化することを発表した。幸福実現党は要望書の中で、「これはマイナンバーカードの事実上の義務化に他ならない」と指摘し、政府に対し「現行の健康保険証の廃止を直ちに見送ること」など、「国民の人権侵害につながるようなマイナンバーの利用拡大を中止すること」を求めている。
これに先立ち、今年10月27日には党神奈川県本部が神奈川県議会宛てに「マイナンバー制度の利用拡大の中止を要請する意見書の提出を求める陳情書」を提出。11月2日には、党栃木県本部が栃木県行政改革ICT推進課宛てに「マイナンバーカード利用拡大実質義務化に反対する要望書」を提出した。
陳情書を提出した、壹岐愛子(いき あいこ)・神奈川県本部統括支部代表。
要望書を提出した、三觜明美(みつはし あけみ)・栃木県本部副代表。
さらに11月18日には、党岡山県本部が岡山県知事宛てに「マイナンバー制度の利用拡大への反対を求める要望書」を提出したほか、党埼玉県本部が埼玉県知事・さいたま市長宛てに「マイナンバー制度の利用拡大への反対を求める要望書」を提出するなど、各地でも働きかけを進めている。
要望書を提出した、山下光治・岡山県本部代表(写真左)。
要望書を提出した、齊藤芳男・埼玉県本部代表(写真右から2番目)、細田三恵(ほそだ みつえ)・三芳町議会議員(写真右)、山野智彦(やまの ともひこ)・伊奈町議会議員(写真左)。
内閣総理大臣宛ての要望書は以下の通り。
令和4年11月22日
内閣総理大臣
岸田 文雄 殿
幸福実現党
党首 釈 量子
東京都港区赤坂2-10-8
マイナンバー制度の利用拡大の中止を求める要望書
令和4年10月に政府は現行の健康保険証を令和6年の秋に廃止し、マイナンバーカードに一体化することを発表しました。国民皆保険制度のわが国においては、これはマイナンバーカードの事実上の義務化に他なりません。マイナンバー法では、カードの取得義務は定められておらず、義務化には法改正が求められます。法改正を伴わずに、事実上の義務化を強行する場合、憲法第41条が定める「国会は、国権の最高機関であり、国の唯一の立法機関である」という条文に抵触するおそれもあります。
そもそもマイナンバー法は、社会保障や税金等の各種申請に関する住民の負担軽減と、行政運営の効率化による公正な給付と負担の確保を図ることなどを目的に施行されましたが、多くの問題点を抱えています。
現在でも行政機関からのマイナンバー関係の情報流出事故は数多く発生しており、令和3年度だけでも、特定個人情報の漏えい事案その他のマイナンバー法違反の事案等について、111機関から170件(うち102件は地方公共団体)の報告が個人情報保護委員会になされています。このうち、「重大な事態(100人を超える特定個人情報の漏えい)」は9 件(うち3件は地方公共団体)報告があり、「万全のセキュリティ対策」といううたい文句は十分な信用に足りません。
また、平成30年には日本年金機構から500万人分のマイナンバー等の個人情報データの入力業務を請け負った業者が、年金機構との契約に違反し中国の企業に再委託するなどマイナンバー関連の個人情報の国内外への流出は数多く発生しております。
このような情報セキュリティ上のリスクを放置したまま、現行の保険証を廃止し、マイナンバーカードの事実上の義務化を進めることには大きな問題があります。
マイナンバーカードが義務化されれば、マイナンバーを通じて国民の医療情報などを政府が集約できるようになります。現行法では、法令により特定個人情報の提供は制限されていますが、政令で公益上の必要があると定めれば、こうした制限は除外されます。つまり、政府の判断ひとつで、マイナンバー制度を「国民管理」と「国民監視」に転用できる余地は十分にあります。こうした状況下で、マイナンバーの利用を促進するということは、それだけ国民管理や国民監視が可能なシステムが整備されていくことを意味します。
政府の言う「利便性」を得られることへの対価として、国民の尊厳が冒され、国民が「自由」を失うことになっては、その代償はあまりに大きいと言えます。
よって、政府においては、次の事項を実現するよう強く求めます。
一 現行の健康保険証の廃止を直ちに見送ること
二 マイナンバーカードの交付率を、地方交付税算定に反映させないこと
三 マイナンバーと銀行口座の紐付け義務化は行わないこと
四 あらゆるデジタル化にはデジタル以外の選択肢を残すことで、国民に手段を強制しないこと
五 国民が自身のマイナンバーに紐づけられた情報に「誰が、いつ、どこでアクセスしたのか」を知る権利を整備すること
六 国民の人権侵害につながるようなマイナンバーの利用拡大を中止すること
以上
【関連書籍】
『減量の経済学』
大川隆法著 幸福の科学出版
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