《ニュース》
米メタ社が提供するメタバース製品のユーザーが低迷しています。内部文書から明らかになったと、米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じました(18日付電子版)。
《詳細》
メタ社が仮想空間「メタバース」に事業の主軸を移すとし、その社名を変更してから約1年が経ちます。同社がこの領域でどれだけのユーザーを獲得しているかは、常に注目を集めてきました。
そうした中、同社のメタバース事業において、消費者向けの主力製品である「ホライズン・ワールド」について、同社の期待に応える成果を上げていないとする内部文書の一部を、WSJがスクープしました。
「ホライズン・ワールド」はVRゴーグルを装着し、自分で作成したアバターで仮想空間のゲームやイベントに参加したり、交流したりするプラットフォーム。現在のところ、日本からはアクセスできませんが、アメリカ・カナダ・フランス・スペインなどでリリースされています。
ユーザー数についてメタ社は当初、2022年内に月間50万人にまで増やすとしていましたが、現在その数は20万人に満たず、最近、目標を年内28万人に下方修正しました。
内部文書によれば、「ホライズン・ワールド」を訪れたユーザーの大半が、最初の1カ月を過ぎるとアプリを使うのを止めており、ユーザー数は春以降、減少し続けているといいます。
これらのサービスが早期に飽きられている背景について、同社が調査をすると、「好みのメタバースやつるむ相手が見つからない」といった答えや、「人々が本物っぽく見えない」といった不満があるとのことです。
いわば技術的に未熟な面があったり、コンテンツがまだ充実していなかったりといった原因があり、利用人数を十分に獲得できていないため、「利用者が増えれば増えるほど、サービスの魅力が増してまた利用者が増える」というサイクルが動き出していない状況──と言えます。
WSJの記事によれば、現在同サービスでは、「イカした女の子の真夏の屋上プールパーティー」と題した空間にほとんど「女の子」がおらず、「殺人村」というゲーム空間では「殺す相手」さえ見つからない状況などが紹介されています。
一方、メタ社はサービス内のアバターに今までなかった「足」をつけるよう約束するなどしつつ、同業界はまだ発展途上であると主張。「現実世界には存在し得ない無数の仮想世界の中でアイデンティティーや表現の自由を持ち、つるんだり、仕事をしたり、遊んだり、学んだり、買い物をしたり、創造したりできる」という未来像は揺るがないとしています。
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