2022年9月号記事

ニッポンの新常識

軍事学入門 26

ロシア―ウクライナ戦争
今すぐ停戦すべき理由

社会の流れを正しく理解するための、「教養としての軍事学」について専門家のリレーインタビューをお届けする。

日本安全保障戦略研究所
研究員

邱 伯浩

邱 伯浩
(チョウ・ボハオ)1967年生まれ。台湾出身。陸軍軍官学校、国防大学陸軍参謀学院、国防大学政治研究所などを卒業。政治学博士。現在は日本安全保障戦略研究所研究員を務める。

ウクライナのゼレンスキー大統領は、「ロシア軍を追い出し、東部(ドンバス)やクリミア半島を奪還する」とあくまで強気の姿勢です。西側諸国がウクライナに対し、戦闘ヘリコプターや高機動ロケット砲システム(HIMARS)などを提供し、しっかり訓練すれば、ゼレンスキー氏が望むような反撃は一定程度可能かもしれません。

ですが戦局を挽回するところまでいけば、今度はロシアが戦術核を使用して世界大戦を招くリスクを高めてしまうので、ゼレンスキー氏が主張する目標は政治的に不可能なのです。ですから西側の支援は、ロシアを刺激しないように限られたレベルにとどめられています。

よって戦局はロシア軍優勢のままで推移し、どこかの段階でゼレンスキー氏は停戦すると思われます。ロシアとしても経済制裁を解除してもらいたいので、ウクライナとは和解したいという考えを持っています。