《ニュース》

バイデン米政権が国土安全保障省内に4月末に新設し、共和党陣営などから批判を受け停止状態となった「偽情報統治委員会(ディスインフォメーション・ガバナンス・ボード、DGB)」に関して、アメリカ国民の言論を統制するためツイッター社などの大手プラットフォーム企業と連携しようとしていたことが内部告発情報から判明し、議論を呼んでいます。

《詳細》

一連の情報を公開したのは、内部告発者から文書を受け取った共和党上院議員のジョシュ・ホーリー氏とチャック・グラスリー氏です。

両議員は6月7日、内部告発情報に基づいた公開書簡を国土安全保障省長官のアレハンドロ・マヨルカス氏に宛てて提出。同省に対し、議会で情報を公開し事実関係を説明するよう求めました。

もともと偽情報統治委員会の設立を巡っては、国土安全保障省がその目的について、ロシアからの偽情報と密入国斡旋業者がアメリカ移住を希望する人々に流す偽情報を取り締まるためだと説明してきました。

事務局長に任命されたニナ・ジャンコウィッツ氏の適性に疑問が投げかけられるなど、保守層からの批判を受け、委員会は停止状態にありますが、いつ「稼働状態」になるか分からない状況です(*)。

(*)ジャンコウィッツ氏について補足すると、トランプ前大統領がロシア政府と癒着状態にあったとする「スティール文書」を事実だと繰り返し主張し(同文書は内容が虚偽に満ちていたことが判明し、さらには民主党のクリントン陣営が資金を出して文書を作成させていたことも分かっている)、逆にバイデン大統領の息子ハンター・バイデン氏のノートパソコンを巡っては、ロシアによる偽情報だと語ってきたことから、「何が偽情報か」を判断する立場に立つべきではないとの批判を受け、その後辞任した。

そうした中でこの度の内部告発が示したのは、「諸外国からもたらされる偽情報への対抗」という政府が掲げる名目に嘘があり、実際には国内のトランプ支持者への言論統制をかける思惑があるという懸念です。

ホーリー氏とグラスリー氏が公開した内部告発文書によると、国土安全保障省は2021年9月時点で偽情報統治委員会を起草。同月13日付の長官宛てのメモには、「国土安全保障に深刻なリスクをもたらしている偽情報の拡散」の第一項目として「選挙の正当性に関する陰謀論」、第二項目として「新型コロナウィルスワクチンの起源と効用、およびマスクの効用に関する偽情報」が挙げられ、その他の文書には「ツイッター幹部と会う」ことなど、"偽情報対策"に向けた具体的な指示が記されています。

一連の内部告発を受け、FOXニュースの人気司会者タッカー・カールソン氏は今月9日、ホーリー氏を招いた番組で、「もしあなたがワクチンに疑問を抱けば、監視される必要がある」と語り、バイデン政権が進めようとする監視社会を批判しました。

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