2022年5月号記事
ニッポンの新常識
軍事学入門 22
中国共産党を支える武装警察の役割
社会の流れを正しく理解するための、「教養としての軍事学」について専門家のリレーインタビューをお届けする。
邱 伯浩
中国人民武装警察部隊(武警)と言えば、軍隊ではないものの、警察よりも実権を持つ「準軍事組織」で、民主活動を弾圧するといった特殊任務に当たっているイメージを持つ人がいるでしょう。日本を含む多くの国には、武警に相当する組織がないので、どんな集団であるか、想像しづらいと思います。
武警は総数150万人の巨大な軍隊
武警は人民解放軍と並ぶ「共産党の番人」として、党を支える重要な組織です。組織としての位置づけや階級、給料などの待遇面は、陸・海・空・戦略支援・ロケット軍と同等であり、れっきとした「軍隊の一種」。戦時に突入すれば、人民解放軍を支援します。つまり、日本で言われている準軍事組織という呼称は誤りであり、実態としては「純粋な軍事組織」なのです。