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台湾に対する軍事的な挑発を強める中国は、台湾への「世論戦」を強化し、中国にとって有利な政治的環境を築こうとしています。

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中国が10月の5日間だけで、台湾が設定する防空識別圏に、延べ150機の戦闘機を進入させたことが注目されました。そこには夜間飛行の訓練も含まれ、中国軍はその練度が高まっていることを見せつけました。その後も台湾を圧迫し続けるのと連動して、中国は、自国のメディアやSNSを使って、台湾の世論に影響を及ぼす「世論戦」を強化しています。

中国のネット上では10月下旬から11月にかけて、軍用車両が多数走る動画が拡散され、「台湾侵攻への準備」という憶測が広がりました(しかし、軍事機密に当たる動画は通常削除され、大々的に広がるはずもなく、フェイク動画の可能性が指摘されています)。

それと同時に中国メディアは、「多くの台湾国民が戦争を恐れて、物資の買いだめに走っている」というフェイクニュースを相次いで報じました。

フェイクニュースが伝えられた後、「2035年に台湾に行こう」という"台湾統一ソング"が一夜にして、SNS上で大ヒット。中国は現在、35年までに本土と台湾を繋ぐ高速鉄道の整備を計画しています(関連記事参照)。「あの列車に乗って台湾へ行こう」という統一ソングはそれを念頭に置いたもので、中国政府の指示で拡散されたと見られます。

さらに11月20日には、中国共産党の機関紙が、「台湾統一後には、台湾の高額な軍事・外交予算を国民の生活向上にあてて、台湾国民一人当たりの年収を2万元(8万円)増やす」という見出し記事を配信。"統一によって、台湾は豊かになる"というプロパガンダを発信しています。

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