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性同一性障害の人の性別変更を認める要件の一つである「未成年の子がいないこと」という性同一性障害特例法の規定の合憲性を争う家事審判をめぐり、最高裁は11月30日付の決定で「規定は合憲」とする判断を初めて示し、申立人の特別抗告を棄却しました。

《詳細》

この裁判は、10歳の娘がいる兵庫県の会社員男性が戸籍上の性別変更を求めたものです。

男性は幼少期から自身の肉体に違和感を持ち、成人したころからホルモン治療を始めたものの、親の勧めで女性と結婚。娘が生まれた後に離婚し、2019年に性別適合手術で女性の肉体になりました。

特例法は04年に施行され、性別変更には(1)20歳以上(2)独身(3)子供がいない(4)手術で精巣・卵巣を摘出(5)変更後の性別の性器に近い外観を備える、という要件を満たし、医師2人の診断書を添えて家庭裁判所に申し立てる必要があります。要件(3)は08年の改正で「未成年の子がいない」に緩和されました。

会社員は満たしていない(3)の要件について、自由な家族関係の形成を実質的に禁じており、幸福追求権を保障した憲法13条や、法の下の平等を定めた憲法14条に反するために無効であると主張。家裁、大阪高裁が「家族秩序や子の混乱を避けるという合理性がある」と退けたため、特別抗告に踏み切りました。

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