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中国が打ち上げた実験衛星が「人工衛星破壊兵器」であるとして、米保守層を中心に警戒の声が高まっています。

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中国は10月24日、技術実験衛星「実践21号」を打ち上げ、予定の軌道に投入することに成功しました。

中国政府はこれを、「宇宙ゴミ(スペースデブリ)の除去技術の検証に用いる」としていますが、デブリ除去用のアーム部分は「人工衛星の破壊」にも使えるため、米アジア専門家のゴードン・チャンなど米保守層から懸念の声が上がっています。

チャン氏はエポック・タイムズ紙への寄稿で、「北京政府は極超音速滑空体の軌道試験で米国防総省にショックを与えました。同様に、アメリカは今や、人工衛星を破壊する能力でも中国に遅れをとっているのです」と警鐘を鳴らした上で、『宇宙で勝つ─いかにしてアメリカはスーパーパワーで居続けるか─(Winning Space: How America Remains a Superpower)』の著者ブランドン・ウィカート氏の次のようなコメントを引用しています。

「実践21号はゲーム・チェンジャーです」「これはアメリカのシステムを捕まえて破壊し、米軍を地上で耳が聞こえず、口もきけず、さらには目も見えない状態にする、現実の攻撃能力なのです」

ウィカート氏は中国が実践21号を投入した「対地同期軌道(地球の自転周期と一致する軌道周期をもつ地球周回軌道)」について、アメリカの核制御や軍の情報通信などに極めて重大な影響を及ぼす、最も繊細な人工衛星システムの多くが位置していると指摘し、以下のように述べています。

「もしこれらの人工衛星システムを代替がない状態で一つでも失ったとすれば、それは(米中間をはじめとする)戦争が勃発した場合に、中国軍に対してかつてないほどの優位性を与えることになります」

この度の実践21号の発射に先立ち、米宇宙軍のナンバー2を務めるデイビット・トンプソン副司令官も既に、中国軍が宇宙空間で米軍を凌駕する勢いで技術開発を進めていることへの危機感を明らかにしています(10月20日付米紙ワシントン・タイムズ、詳細は関連記事)。

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