《ニュース》

「中国共産党100周年」を迎えんとする中、習近平国家主席が自身の成果と権威を国内外に喧伝しています。しかし一方で、"元インサイダー"の口から「共産党体制のもろさ」が明らかになっています。

中国共産党中央党校で数多くの共産党幹部を養成し、現在はアメリカに亡命している蔡霞(Cai Xia)氏は、米保守系シンクタンク・フーバー研究所で新たな論文「インサイダーの視点(Insider's Perspective)」を発表。

中国共産党政権の脆弱さを指摘すると共に、アメリカに対しては、経済が発展すれば政治は民主化するという前提に基づいた従来の「関与政策(engagement policy)」を捨て、中国に強力な圧力をかけるべきだと提言しました。

《詳細》

同論文は、アメリカが「中国共産党の本質および長期的な戦略的目的を根本的に誤解」し、共産党に対する「非現実的な期待」を抱き続けてきた結果、共産党政権による「新全体主義的な支配(neo-totalitarian rule)」を加速させてしまったと指摘。

その上で、共産党体制の一員であった者として、アメリカの人々に共有したい3つの視点を次のように挙げています。

  • 共産党は権力の座に就いて以降、70年以上に渡って、内政・外交問題のどちらについても、共産党による支配を強め、政権倒壊を防ぐという最優先事項に向けた"一つの統合的なゲーム"だとみなしてきた。(共産党政権にとって)外交とは内政問題の延長線上であり、政権の権力を保持するための道具としてみなされている。

  • 共産党政権の国際的な戦略的目的に関与する限り、あらゆる事項の中で、米中関係は最も重要なものである。したがって、米中関係および(アメリカの)関与政策に向けた、共産党政権の姿勢は、それらが国内における自身の政治的必要性にどれだけ資するかということによって決定される。

  • 国際的な関与政策と(中国国内の)経済成長によって、共産党政権の政治的性質を和らげることはできなかった。(共産党政権の)イデオロギーと自由の抑制の混合体は、共産党政権を全体主義に変え、デジタル技術による集団監視と抑制が、全体主義支配に新たな次元を与えた。これら全てが、中国をアメリカにとってより危険な敵対国と成さしめている。

蔡氏は中国共産党政権が、全体主義と民主主義の中間に位置づけられる「権威主義体制(authoritarian system)」ではなく「新全体主義(neo-totalitarian)」であると強調し、アメリカに対して、共産党政権および中華人民共和国の本性を「あるがまま」に見るよう提言。

その上で、「中国共産党は飢えた龍の如き野望を持っているが、内部は張り子の虎だ」「アメリカ人が思っているより、共産党政権はもろい」と中国の現状を喝破し、「中国共産党による攻撃からアメリカを護るためには、関与政策という甘い考えを捨て、手堅い防衛策を打ち立てると同時に、共産党政権に攻撃的な圧力をかけるべきだ」と主張しました。

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