2021年7月号記事

ニッポンの新常識

軍事学入門 12

中国が仕掛ける「人に優しい戦争」

社会の流れを正しく理解するための、「教養としての軍事学」について
専門家のリレーインタビューをお届けする。

慶應義塾大学法学部教授

安田 淳

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(やすだ・じゅん)1960年東京都生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科政治学専攻博士課程単位取得満期退学。防衛庁防衛研究所教官などを経て現職。専門は、現代中国の安全保障。著書は『台湾をめぐる安全保障』(慶應義塾大学出版会)など。

中国は最終的に、どのような国家を築こうとしているのでしょうか。習近平国家主席は2012年に「中国の夢は中華民族の偉大な復興」というスローガンを掲げました。中国の夢を突き詰めると、「2050年までに世界一流の軍隊をつくり上げる」ことを意味します。

習氏は、次世代AI発展計画や軍民融合発展戦略、中国製造2025(*)などの戦略を実行してきました。それら全てに関係するのが、私が監訳した『知能化戦争』(中国軍上級大佐の龐宏亮著、五月書房新社)です。

知能化戦争とは、AI(人工知能)やITの技術を使って、兵器を効率的に運用することであり、最終的には人間の手を介さずに機械が自分で戦闘行動を判断する「自律型兵器」の完成を目指す戦略です。習氏は17年に、「軍事知能化の発展を速め、ネットワーク情報体系に基づく統合作戦能力、全域作戦能力を向上させる」と軍の知能化の推進を指示しました。