大阪府の橋下徹知事は27日、原発の新規建設を止めることを目標にした計画を策定することを表明した(27日共同通信)。
3月11日の東日本大震災以来、福島の原発事故をきっかけに、原発見直しの声が広がっている。3月17日には自民党の谷垣総裁が「原子力政策の推進は難しい状況になった」と原発推進の見直しを表明すると、翌日には枝野官房長官が「至極当然のことだ」と谷垣発言を支持。電力各社も相次いで建設計画を見直している。
建設計画の多くはマグニチュード9.0レベルの地震は想定していないだろうから、安全性を高めるという意味での計画見直しはあり得るだろう。しかし、原発そのものの見直しということであれば、その判断は慎重であるべきだ。
現段階では、原子力に変わる電源をどう開発するかについて具体的な提案はほとんど見られず(太陽光や風力の発電量ではすぐに補えない)、このまま見直しをすれば、節電によって電力供給量を落とすしかなくなる。これは事実上のマイナス成長戦略だ。
今回、東北電力の女川原発が地震にも津波にも耐え切ったことを考えると、設計思想を見直して安全性を高めれば、原発はまだ使えるはずだ。一時的な不安感情に流されて、原子力政策を安易に後退させることは避けたいところだ。(村)
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