年明けの日本をコロナの猛威が再び襲い、先が見えない状況にある。政府は、2度目の緊急事態宣言を発令し、対象地域では飲食店を中心に「営業時間の短縮要請」と「給付金支給」がセットで進む。
短縮要請に応じた飲食店には6万円が支給されるが、従業員数の多い店からは「焼け石に水」と悲鳴が上がる。一方で、個人事業主からは「平常でも1日6万円の売り上げは上がらないのでありがたい」との声もある。ただ、政府がいくら支援しても、本末転倒の感はぬぐえない。
大川隆法・幸福の科学総裁は昨年、コロナ禍という未曽有の事態に直面するビジネスマンや経営者に向け、『コロナ不況下のサバイバル術』『人の温もりの経済学』を発刊している。
そしてこのたび、半年ほど経った現在の考えを語るという趣旨で、法話「二宮尊徳流経営サバイバル術」を説いた。本法話は、幸福の科学の支部や精舎で公開されている。
天災・飢饉・両親の死・貧困……二宮尊徳はいかに立ち向かったか
法話の内容は多岐に及んだが、大川総裁が特に注目したのは、演題にもある「二宮尊徳精神」である。
二宮尊徳(幼名・金次郎)の生家は裕福な農家だった。しかし、子供時代、異常気象で大飢饉が起こる。また、近くの川が氾濫して田畑は荒廃。両親は相次いで亡くなり、伯父に預けられて農作業を手伝うことになった。
しかも伯父は厳しく、夜に菜種油のランプを灯して勉強していたところを見つかり、「お前の時間も、その油もわしのものだ」と怒られる。そこでも金次郎はめげることなく、休みの時に荒地を開墾し、菜種を育てて菜種油を自分で絞り、勉強を続けた。
そして、余暇に荒地の開墾を続け、そこで収穫した農作物から上がった収益によって田畑を買い戻し、ついに生家を再興させることに成功したのだ。
尊徳はその後、各地の藩の財政改革や、農村の復興を次々と手がけた。藩政においては質素倹約を進め、財政再建の鬼となる。そして、農村では開墾を進めたり、収穫を増やすことを促す。この両輪で「財政赤字を解消しながら、継続的に発展する国をつくる」ことを実現した。
尊徳の発想の原点には、いかに厳しい環境にあろうとも、「人のせい、環境のせいにしない」で日々小さな工夫を積み重ね、大きな発展へとつなげるといった精神態度が伺える。
ゼロから富を作っていく方法に立ち返る
大川総裁は尊徳の生き方を例に挙げ、コロナ禍においても「現在の仕事が当然ある、経済体制が当然ある、政治体制が当然、自分の生活パターンが当然と思わないで、少し時代を昔に戻ってみて、その頃と引き比べて、今どうなのかということを考えてみる必要はあるだろうと思うし。根本には、ゼロから富を作っていく方法は、今も必要なんだなということは考えなきゃいけない」と指摘した。
その「少し時代を昔に戻る」ことの一例として挙げたのが、「今までは企業がやってくれていたことが、家庭に回帰してくる可能性はある」ということだ。「原始的と思われるようなことが、本来の人間の喜びにも関係があったんだと知る必要がある」と指摘。仕事のあり方はもちろん、各人の生き方についても、ゼロから見直す視点に満ちている。
大川総裁は一貫して「自助の精神」の大切さを説くが、世界的な危機の時代であっても、その原則は変わらないということだ。経営者はもちろん、一人ひとりが新たな一手を打つ際のヒントが数多く散りばめられた法話だ。
本法話では、他にも次のような論点への言及があった。
- 緊急事態宣言が、万一長引いたら?
- 日本の財政赤字がここまで膨れ上がった理由
- 大川総裁が商社時代に見た、商社や銀行の危うい経営
- 明治維新が起きた理由の一つの、幕末経済の大変化
- 二宮尊徳が藩政改革で苦心したポイントは
- 実はバブル期は終わっていなかった!?
- AIを使って全体主義ができる
- コロナ禍で「脱炭素」に取り組んだら、経済はどうなる!?
- 「人間社会を前進させる仕事、後退させる仕事」という見方
- コロナにワクチンは効くのか
- 生き延びるための、松下幸之助の経営論
ここに紹介したのは法話のごく一部です。
詳しくは幸福の科学の施設で、ぜひご覧ください(下記参照)。
・幸福の科学サービスセンター Tel:03-5793-1727
火~金/10:00~20:00 土日祝(月曜を除く)/10:00~18:00
・同グループサイトの支部や精舎へのアクセス
【関連書籍】
『人の温もりの経済学』
幸福の科学出版 大川隆法著
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