2021年1月号記事

ニッポンの新常識

軍事学入門 6

中国に突き放される海上自衛隊

社会の流れを正しく理解するための、「教養としての軍事学」について、
専門家のリレーインタビューをお届けする。


元潜水艦隊司令官

矢野 一樹

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(やの・かずき)1955年生まれ。防衛大学校第22期生、米国防大学修士(国家資源管理)。海上幕僚監部装備部長や潜水艦隊司令官を歴任。元海将。現在は日本安全保障戦略研究所上席研究員などを務める。

日中の海軍力の差は、海上自衛隊の艦艇約80隻に対し、中国は300隻超です。その差はどんどん開き、日本が国防強化を真剣に取り組まなければ、日米同盟も崩壊しかねません。

中国に備える時間はそう多くありません。香港問題を見ても分かるように、自由・民主主義を掲げる国にとって、中国が「人類の敵」であることは明白です。日本はアメリカとともに、中国と戦う意志を鮮明にすべきです。



イージス・アショアは
イージス艦10隻分

今年6月、地上配備型のミサイル迎撃システム「イージス・アショア」の導入が中止となりました。「ミサイルのブースターが落下し、民間人に直撃する可能性がある」という理由です。

しかし、そんなことで断念すれば、国内にある地上発射型の兵器は使えなくなります。例えば迎撃ミサイルが外れれば、地上に落ちる恐れがあります。