トランプ米大統領の当選以降、現在に至るまでの経済革命について描いた、『トランプ経済革命──側近ブレーンたちの証言』(スティーブン・ムーア、アーサー・ラッファー 共著/藤井幹久 訳)が、このほど発刊された。評論家の宮崎正弘氏が、同書について語った。

『トランプ経済革命』

『トランプ経済革命』

幸福の科学出版 スティーブン・ムーア、アーサー・B・ラッファー共著
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評論家

宮崎 正弘

プロフィール

(みやざき・まさひろ)1946年、石川県生まれ。早稲田大学中退。中国ウォッチャーとして知られる評論家。「日本学生新聞」編集長、雑誌「浪曼」企画室長、貿易会社経営などを経て現職。著作に『チャイナチ(CHINAZI) 崩れゆく独裁国家 中国』(徳間書店)など多数。

トランプ政権の経済政策を表で司っているのは、通商代表部(USTR)のライトハイザー代表、ロス商務長官、クドロー国家経済委員会委員長らだが、ホワイトハウスでは国家安全保障担当のオブライエン、ポッテンガー正・副両補佐官が絡む。

背後にあってつねに助言をしているのが、本書が選んだ二人の人物、すなわちスティーブン・ムーア(ヘリテージ財団客員フェロー、元ウォール・ストリート・ジャーナル編集員。現大統領経済顧問)と、アーサー・ラッファー教授だ。ラッファーはレーガン政権に大きな影響を与えたサプライサイド経済学の提唱でも有名。この二人が「トランプ経済学は成功した」と発言を繰りだすのが本書の特色である。

サプライサイド経済学に触れておくと、減税と供給サイドの強化が強調されたもので、仲間にジュード・ワニンスキー、ロバート・マンデルらがいた。後者二人、懐かしき名前だが、金本位復帰提唱者として著名であり、かれらを総合してのサプライサイド経済学をブッシュ大統領(当時は副大統領)は「ブードゥーエコノミー」とからかった。だが、レーガン初期とサッチャー前期に、一世を風靡した。

ラッファーは日本版によせて、こう言う。

「日本の将来が非常に危険であるように感じられます。日本経済が勢いを失ってきた理由としては、良い経済学が有益であることを、日本人がよく理解できていない」(中略)「日本が消費税を10%に増税したことは間違いだった」

ムーアがトランプの経済政策と比較する。

「トランプは減税政策で成功しました。規制政策でも、企業のコスト負担を軽減しました。エネルギー政策でも、アメリカ国内で採掘される石油、天然ガス、石炭などの天然資源の開発を推進しました」

すなわちトランポノミクスが「アメリカ経済を大発展させたのです」。

二人はローレンス・サマーズとか、ポール・クルーグマンの経済理論が、いかにまちがっているかも熱心に解き明かしている。

日本の官僚たちが「尊敬」しているアメリカ経済学って、インチキに近いのだ。

またピケティは偽物だと論駁している。凝り固まった視野狭窄の学者や官吏が多い日本。メジャーな新聞やメディアは、この本を書評には取り上げないだろうな。

『礼記』に曰く。

「こころ此所にあらざれば 見れども見えず、聴きても聞こえず、食らへども、その味を知らず」

※メールマガジン「宮崎正弘の国際情勢解題」(2020年8月13日)より、著者了承のもと転載

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『トランポノミクス』

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