2019年11月号記事
「銀行半減」時代
資金調達、社長の次の一手
contents
最大の担保は経営者の「人格力」 - 「銀行半減」時代 - 資金調達、社長の次の一手 Part.3
Interview
最大の担保は経営者の「人格力」
銀行淘汰の時代である今こそ必要な経営者の心構えについて経済学の専門家に聞いた。
ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ
経営成功学部ディーン
鈴木 真実哉
(すずき・まみや)早稲田大学政治経済学部経済学科卒。同大学大学院経済学研究科博士後期過程単位取得後退学。聖学院大学政治経済学部教授などを経て、現職。主な著書に『理念経済学が日本を救う』(幸福の科学出版)など。
銀行はずっと昔から統廃合の歴史を続けてきました。今後も人口減少や経営規模の拡大など、時代に合わせて金融機関は変化していくでしょう。
同様に経営者も、変化しなければいけません。銀行からの融資以外にも資金を得る手段がある今、必要な心構えを考えていきましょう。
地域に信用される経営か
まず、地元の金融機関に「融資されるような商売」ができているでしょうか。
信組や信金は、地域密着が信条。本来、行員は自転車で町を回り、いつも昼食を食べる定食屋で「店を改装したいけど800万かかるんだよな」と相談されたら、支店長に「あそこの店は流行ってるから大丈夫ですよ」と後押しするのが仕事です。
行員に「融資して大丈夫」と言わせるような誠実な仕事をしているか。 地銀や信組も、最後は貸す側の「人格」を見ます。それが最大の担保になるのです。
縁ある人との絆はあるか
日本には、鎌倉時代から無尽や頼母子講(*)という制度がありました。近所などで参加者を募り、決められた金額を定期的に全員が出し合うものです。その中の一員が、「店を直したいので、いくら必要です」などと名乗りを上げると、相談の末に貸してもらえました。
無尽や頼母子講を制度的にしたものが信用組合で、さらに大きくなったのが、無尽会社や相互銀行です。 日本には昔から、相互扶助の文化があったのです。
現代でも、同業他社や付き合いのある経営者の融資で倒産を免れることはよくあります。そのような良好な人間関係を築けているでしょうか。
「騎士道精神」があるか
これまで商売を続けてこられたのは、多くの人の支えがあってこそです。感謝や恩返しの気持ちがあるでしょうか。アメリカでさかんな「エンジェル投資」は、ビジネスでもありますが、成功した起業家が、かつての自分のような若者を育てたいという、恩返しの側面が強いものです。
日本で言えば"分福"の思想です。たとえ今は経営が苦しくても、 成功した暁には恩返しをするという、経済的な「騎士道精神」を持つことが大切です。
成功者に嫉妬せず、祝福の心で、自分も近づこうと創意工夫をしていれば、そういう人と縁がつながり、困った時に助けてくれる可能性もあるのです。
経営者の「自助努力の精神」
このようなマインドを持つ経営者は、たとえ担保が十分になくても、救いの手が伸びてくる可能性が高いといえます。
そんな経営者になるにはどうすればいいか。 まずは自らが汗を流すこと。そして、未来を感じられるような、将来性のある経営をすることです。
具体的には、これまでの「惰性の経営」をやめ、白紙の目で収入と支出のバランスを考え、資金投入の優先順位を見極めること。手形に頼りすぎず、黒字化を目指すことも大切です。
同業他社の研究も重要です。出入りの銀行マンなどに、「他社さんってどんな感じですかね?」と聞いたりして、情報クラウドとして"活用"しましょう。
さまざまな形で資金を得ることができる今の時代こそ、経営者の人格力と、「自助努力の精神」が試されています。
(*)集めたお金は入札制のほか、くじ引きや順番制で融資を行う場合もあった。神社仏閣への寄付などにも使われた。
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