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日本人の健康寿命は世界一。今世紀後半にも、100歳まで生きることが一般的になると言われています。
「老後資金2000万円」などの問題がささやかれている中で、年を重ねても輝いている人生の先輩が、日本にはたくさんいます。
本欄では、7月末発刊の本誌9月号記事「 『大人の夢』の描き方──人生100年を戦略的に生きる 」に掲載しきれなかったエピソードも含めて、75歳の時に、パキスタンで技術指導をした松岡浩史さんの「70代で海外に挑戦した男の奮闘記」を4回にわたり紹介します。今回は、第3回です。
(聞き手 飯田知世)
【70代で海外に挑戦した男の奮闘記】
2019年8月18日付本欄 (1)「始まりは憧れの仕事での劣等感」
https://the-liberty.com/article/16144/
2019年8月24日付本欄 (2) 人生で初めてのTOEIC受験
https://the-liberty.com/article/16187/
◆ ◆ ◆
英語よりウルドゥー語で打ち解ける
パキスタンには、日本企業の部品工場がいっぱいあるんです。そこで働く現地の人に、省エネの方法を教えました。
まずは、現地の工場の現状を調査しました。それに基づいた報告書を書いて、現地の人の前でプレゼンテーションをするんです。
私以外、みんな英語ができるから、自分で話すんですよね。ただ、私はTOEICが200点なので、やれるわけがない(笑)。そうしたら、私に通訳の人をつけてくれたんです。私が日本語で話したことを、通訳の人が英訳して、現地の人に内容を伝えてくれました。
ただ、挨拶だけは自分でしたんです。しかも、現地で使われているウルドゥー語で話しました。他の人は英語を話せたから、挨拶も全部英語でした。
でも、私は英語を話せない分、ウルドゥー語を先に覚えてしまったんです。それも、4~5個の簡単な挨拶です。例えば、プレゼンを始めるときに「アッサラーム・アレイクム(こんにちは)」、プレゼンの終わりに「シュクリア(ありがとう)」といった具合です。
私がウルドゥー語で挨拶をするだけで、みんなとても喜んでくれました。プレゼンの内容を上手く伝えられたかなと思って感想を聞くと、「松岡のプレゼンが一番良かった」と言ってくれる人もいました。
ある時、「『アッサラームアライクム』は日本語で何て言うの?」と聞かれて、「『こんにちは』と言うんだよ」と教えたら、みんな大笑いするんです。なんで笑うのか聞いたら、「コン」は「肘」、「ニチワ」は「上げる」という意味らしいんです。
それから現地の人たちが「こんにちは」と声をかけてくれるようになりました。そうすると私は肘を上げる動作をして応える。それでみんなでまた大笑いして……そうやって現地の人と自然と打ち解けていきました。
「グランパ松岡」と若い子が慕ってくれるようにもなりました。すごく人気はあったんですよ。
信仰を語るから尊敬された
宗教の話もしたんですよ。
パキスタンはイスラム教の国ですが、ある時、「ミスター松岡はブッディスト(仏教徒)か」と聞かれました。私が、「ブッディストだよ。だけどそれだけじゃないよ。私は、アッラーも信じているよ」と言うと、「えっ、松岡はムスリムか?」と驚かれました。
私は幸福の科学の信仰を持っているので、「私が信じているエル・カンターレは、天上界からムハンマドを指導していたんだよ。ほら、ここに書いてあるだろう?」と、持っていた幸福の科学の英語の小冊子をみんなに見せたら、びっくりしていました。でも、全然反発しないんですよね。むしろ、「ほんとか! それはすごい!」と言っていました。
しかも、「松岡を一番尊敬する。信仰を持っているからだ」と言われました。他の日本人は、信仰について話さなかったからだと思います。むしろ、宗教の話ができたことを現地の人が嬉しがっている印象を受けました。
そういった感じでとても楽しかったので、去年はバングラディッシュにもJICAの仕事で行ったんです。ここもイスラム圏です。半月くらい行きました。
一緒に行った人が英語がペラペラだったのでよかったのですが、これから先、「一人で行ってほしい」と言われても、英語が話せないと難しいですよね。だから今、英会話を勉強してるんです。
(続く)
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2019年9月号 「大人の夢」の描き方 ──人生100年を戦略的に生きる
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2019年8月30日付本欄 映画「光り合う生命。─心に寄り添う。2─」舞台挨拶
https://the-liberty.com/article/16204/
2019年8月28日付本欄 映画「光り合う生命。」公開間近 奥津貴之監督インタビュー
https://the-liberty.com/article/16198/
【関連サイト】
映画「光り合う生命。」 公式サイト
https://aripro.co.jp/products/hikariau/
映画「光り合う生命。」 劇場予告編