リビアへの軍事介入で、米国の消極的な姿勢が鮮明になってきた。巨額の財政赤字を抱える中での戦費の拡大や、イスラム勢力の報復テロを恐れてのことである。

24日付産経新聞によると、米シンクタンクの試算では、リビアの防空施設破壊などの初期費用として最大8億ドル(647億円)、飛行禁止区域の維持に週単位で最大1億ドル(80億円)が必要。米軍は22日までに巡航ミサイル「トマホーク」を英軍と共同で約160発発射したが、トマホーク1発の価格は140万ドル(約1億2千万円)という。

また、米国が懸念するのは、キリスト教vs.イスラム教という宗教対立の構図が鮮明になってイスラム原理主義の活動が活発になることだ。リビアは100を超える部族が入り乱れ、カダフィ大佐が退陣したとしても反政府勢力が国内をまとめられる保証はない。アルカイダなどのイスラム過激派勢力が、リビアの混乱に乗じて北アフリカで勢力を拡大しかねない。

こうした現状に、米国内ではオバマ政権が武力行使に踏み切ったことへの批判が広がっている。アフガニスタン、イラクに次ぐ「第三の戦争」になり、米国の死活問題にはならない地域への介入は国益に反するというのだ。

オバマ米大統領は、リビア空爆の指揮権を米軍中心の多国籍軍から仏英中心のNATO軍へと移譲することで大きな負担から逃れようとしている。だが、現実的に米軍なしでのカダフィ政権の打倒は困難。欧米社会が振り上げた拳の行方は、今後「世界の警察官」の役割から降りようとする米国のスタンスによって大きく変わっていく。(格)

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