トランプ大統領の経済政策アドバイザー
スティーブ・ムーア
プロフィール
Steve(Stephen) Moore 1960年生まれ。イリノイ大学を卒業後、ジョージ・メイソン大学で修士号を取得。レーガン政権の経済政策立案者の一人。トランプ政権の大型減税法案の立案者の一人。共著に『増税が国を滅ぼす』(日経BP社)、『トランポノミクス』(英語版のみ)。
今年10月に予定されている消費増税について、安倍晋三首相の側近でもある自民党の萩生田幹事長代行が「景況感次第で延期もあり得る」と言及し、波紋を呼んだ。
大阪12区、沖縄3区の衆院補欠選挙で2敗した自民党が、夏の参院選に向けて立て直しに動き始める中、3回目の「消費増税延期」というカードを切る可能性が指摘されている。その場合、衆参同日選挙が現実味を帯びる。
その決断を左右する大きな要素がトランプ米大統領の出方だ。日本から海外に輸出する場合、輸出企業は仕入れ時に支払った消費税の還付を受けるため、消費税がかからない。トランプ政権はこれが輸出企業への補助金にあたり、不公平だと批判してきた。4月に行われた日米貿易交渉でも、この問題が取り上げられたと報道されている。
トランプ政権の姿勢が厳しくなる中で、トランプ氏の経済ブレーンの一人で米連邦準備制度理事会(FRB)の理事候補でもあるスティーブ・ムーア氏はこのほど、本誌のインタビューに応じ、日本の消費税の10%への増税に反対する考えを表明した。
消費増税は経済成長を止める
ムーア氏は、日本政府が消費税を10%に引き上げようとしていることについて聞くと、語気を強めて次のように語った。
「10%への増税は、恐るべきアイデアであり、最悪の選択です。日本経済は成長していない上に増税したら、経済成長を取り戻すことはできなくなります。《中略》
私はこれまで、『税金を上げて豊かになった国』を見たことも聞いたこともありません。トランプ政権と良好な関係を持つ安倍政権が、成長政策とは真逆の方向に進もうとしていることは非常に残念です。日本政府が今すべきことは、消費税の増税ではなく、法人税と所得税の減税です」
また、大川隆法・幸福の科学総裁が大統領選の前からトランプ大統領を支持していることについては、ムーア氏はこう語った。
「ご支持に感謝します。おかげさまで、アメリカ国民、特に労働者が報われています。日本でもアメリカと同様の政策が実行できるはずです。トランプ氏は『アメリカを再び偉大な国に』しましたが、次は『日本が再び偉大な国に』なることを願っています」
米中貿易戦争の激化、イギリスのEU離脱に伴う欧州経済の悪化など、経済運営の舵取りが難しくなる中で、安倍首相は4月末に訪米し、トランプ氏と会談する予定で、トランプ氏本人の口から消費増税を批判される可能性がある。
安倍首相は、不安定化する景気とアメリカからの「圧力」、参院選に向けた自民党・政権の支持率を見極めつつ、「決断」を迫られる局面を迎えている。
このインタビューについては、4月30日発売の月刊「ザ・リバティ」6月号で詳報する。
(聞き手 藤井幹久・幸福の科学国際政治局長)
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