2014年1月、ヘリテージ財団にて、「経済自由度指数」について講演するムーア氏。

2018年5月号記事

Expert Interview

財政再建には、減税による経済成長しかない

レーガン政権で経済ブレーンを務め、トランプ政権の大型減税法案の立案者の一人でもあるエコノミストに、日米の経済のあるべき姿について聞いた。

(編集部 長華子)

トランプ大統領の経済政策アドバイザー

スティーブ・ムーア

プロフィール

Steve(Stephen) Moore 1960年生まれ。イリノイ大学を卒業後、ジョージ・メイソン大学で修士号を取得。レーガン政権の経済政策立案者の一人。ヘリテージ財団の名誉フェロー。大統領選挙中に、トランプ氏の経済政策のシニア・アドバイザーを務めた。2017年12月に成立した大型減税法案の立案者の一人。共著に『増税が国を滅ぼす』(日経BP社)、『Return to Prosperity』等。『トランポノミクス』(下)は、10月発刊予定(日本語版未定)。

――トランプ政権の大型減税が米経済に与える影響について教えてください。

ムーア氏(以下、ム): 私はトランプ政権の減税政策を立案しました。

この減税政策のおかげで、アメリカへの投資が増え、多くのビジネスが生まれ、建設業、製造業、炭鉱業などで雇用が増え、3月半ばまでに、約300万もの雇用が生まれています。アップルもアメリカに約3兆円を投資すると言っています。すでに多くの企業が従業員に約10万円から20万円のボーナスを支払っています。トランプ大統領が目指していた「世帯当たりの所得の上昇」も実現しています。

また、3月初めに発表された新規失業保険申請は、1969年以来、最も少ない件数になりました。これは素晴らしい業績です。

30年ぶりに景況感が高まっています。トランプ氏は、経済成長に対する自信を取り戻してくれました。 米経済に新たな活気が生まれています。

――トランプ政権は1兆5千億ドルのインフラ投資について、政府が2千億ドルを提供し、残りは民間が出すとしています。

ム: 民間部門の資金でインフラ投資を行うというトランプ氏の考えに、私は好感を持っています。

現代はスペースX社のイーロン・マスク氏など、民間が宇宙空間にも進出している時代です。 私たちが必要としているインフラの多くを税金で賄うべきではありません。 配電網やガスのパイプラインなども民間部門の資金で建設される方がよいでしょう。道路の整備も税金で一律に集めるのでなく、使う人たちから通行料を徴収する形がよいのです。

でも米民主党の人たちは、ルーズベルト政権のように政府が税金で賄うべきだという考えにこだわっています。