土砂投入される前の辺野古の米軍キャンプ・シュワブ。写真:Nicolas Datiche/アフロ

2019年3月号記事

現地ルポ

今の沖縄は
侵略された「あの国」そっくり!?

基地問題で揺れる沖縄を訪ね、中国の自治区となったチベットの併合前夜を、比較検証した。

(編集部 馬場光太郎、山本泉)

あたかも独立戦争のような様相だ。

沖縄県名護市の辺野古沿岸において昨年12月、基地移設のための土砂投入が行われた。地元テレビは叫び声を上げる抗議活動家の姿を映し、地元紙は「『琉球処分』強行だ」(琉球新報)と報じた。

玉城デニー沖縄県知事は2月24日、埋め立ての賛否を問う県民投票を行う。沖縄をないがしろにする本土に「民意」をつきつけ、「自己決定権」を訴えるという。しかし、この対立の先に、沖縄の本当の幸福があるのか―。

この「反基地・反本土運動」の延長線上には、最悪のシナリオがある。中国共産党による沖縄侵略だ。「そんなことがあるはずない」「いたずらに危機をあおるな」。そんな声もあるだろう。

だが現在の沖縄は、かつて中国に侵略された「ある国」の状況とよく似ている。

ヒマラヤ山脈北部に住むチベット民族。「海の民」ならぬ「山の民」として、独自の文化を育んできた。色とりどりの民族衣装に、木材が美しいパターンで並べられた独特な家屋。屋根の上には厄除けを願う旗がたなびく。自然と調和し、何よりも仏教徒として平和をこよなく愛する民族だった。

しかし、いつまでも続くと思われていた平穏な日常が、ある時を境に一変する。1949年に、中国共産党の軍が押し寄せ、中国の「自治区」にしてしまったのだ。その過程で激しい虐殺・投獄・拷問が行われ、120万人が命を失った。

この悲劇の国と沖縄との間に、多くの共通点がある。

次ページからのポイント

沖縄二紙による偏向報道の実態とは

中国人観光客への依存は注意

平和主義という無防備さの危険

元名護市長 島袋吉和氏インタビュー