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《本記事のポイント》

  • 国連におけるトランプ氏の「グローバリズム否定」発言をメディアは批判
  • 米シンクタンク研究員が論説するトランプ氏の哲学
  • 日本の「反トランプ」報道に洗脳されないよう注意が必要

トランプ米大統領はこのほど、米ニューヨークで開かれた国連総会でスピーチを行った。その中で「私たちはグローバリズムの思想を拒否し、愛国主義の精神を大事にする」と明言した。

この言葉について米リベラルメディアや日本のマスコミの多くが、「多国間協力の否定」などとして批判した。さらに、聴衆がトランプ大統領の演説を笑ったことに焦点を当てた報道も多くなされた。

それだけを聞けば、トランプ氏が「トンデモ発言」をしたように聞こえるかもしれない。しかしもう一段冷静な視点が必要だ。

例えばトランプ政権は4月、アサド政権が市民に化学兵器を使用したとして、英仏とともにイラン国内の化学兵器関連施設を爆撃している。他国の問題に無関心で冷たいわけでも、単独行動ばかりを好むわけでもない。つまり、必ずしも報じられているような「多国間協力を否定する」スタンスではないことが分かる。

「世界の国々が主権に立ち返っている」

ではトランプ氏の「グローバリズムの否定」は、いったい何を意味するのか。

ワシントンに拠点を置くシンクタンク「センター・フォー・ザ・ナショナル・インタレスト」で上級研究員を務めるクリスチャン・ウィットン氏は、「国連でのトランプ大統領:エリートたちは笑うかもしれないが、アメリカ国民は馬鹿げたグローバリズムの本質を見抜いている」と題した論説を発表している(25日付FOX News)。

ウィットン氏は、トランプ政権ならびにブッシュ政権で上級アドバイザーも務めている人物だ。同氏はこう述べている。

「トランプ氏が、世界にも影響を与えている国内での堅固な経済的成功、特に急速な経済成長、マイノリティーや女性の完全雇用、記録的に高い株価についてリストアップした時、国連の聴衆のほとんどを構成しているグローバリストは笑った。しかし、(トランプ氏に)感謝しているアメリカ国民、そして自分たちのリーダーにもトランプ氏の実例を真似してほしいと思っている世界の人々は、笑っていない」

「スピーチの中で最も覚えておくべき点は、トランプ氏が、アメリカ国民だけではなく他の国々に対しても、主権というものに焦点を当てたことだ。彼は、国連は国際的統治や支配ではなく、(それぞれの国の)独立や協力を追求するものだと言ってスピーチを始めている」

「進歩派の人たちが、国家主義やポピュリズムだといって退けている事態。トランプ政権に限らず、グローバリストのEUを離脱するというイギリスでの選挙や、ヨーロッパの国々で右派のリーダーが当選していること。これらは実際には、民主主義的な国家における主権への立ち返りだ。他の国家と同様、われわれは自分たちの法律を自らの手で定める。どのような人に移住を許可するかを決める。どのような文化を求めるかを決める。そして、自分たちの手で自らの運命を決める。トランプ氏は、アメリカや他の国々で高まりつつある、こうした基本的な愛国的な欲求により多くの骨組みを与えたのだ」

反トランプメディアの洗脳にご注意

ウィットン氏の言葉からも分かるように、トランプ氏が訴えているのは、それぞれの国が互いに認め合いながら自国を愛し、繁栄させることの重要性だ。トランプ氏が「グローバリズムの思想を拒否」すると述べたのは、国家としての個性を尊重する世界にしたいということを意味している。

「反トランプ」の報道が空気のように蔓延する一方で、ウィットン氏のようなトランプ氏を支持する声はあまり報じられない。

また聴衆から失笑を受けた経済政策の成功についても、有色人種の失業率を歴史的水準まで下げるなど、実際に目覚ましい成果をあげている。その実績を十分に報じないまま、聴衆が笑った事実のみを大きく取り上げるのは、フェアではない。

「国際秩序の破壊者」や「恥知らず」といったメディアによるレッテル張りに"洗脳"されないよう、注意が必要だ。

(片岡眞有子)

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