3月1日にスイスのジュネーヴで開かれた国連人権委員会で発表する学者たち。
2018年6月号記事
Part2
「法輪功」の次のターゲット
悪者に仕立てられ弾圧される新興宗教
contents
悪者に仕立てられ弾圧される新興宗教 / 平和ムードの裏の人権弾圧 神を信じると「罪」になる国 Part2
スイスのジュネーヴで3月に開かれた国連人権委員会の分科会で、中国のキリスト教系新興宗教「全能神教会」に対する中国政府の弾圧の実態について、学者たちが発表した。中国政府に不当に拘束され、拷問を受けたという全能神教会の信者の生々しい証言などが紹介された。
質疑応答で真っ先に手を挙げたのは、ある中国人の女性。マイクを握ると、「中国では憲法で信教の自由が保障されています」「なぜ中国政府の見解を紹介しないんですか」と、一方的にまくしたてた。彼女が中国政府から送り込まれた人物であることは、誰の目にも明らかだった。
新興宗教研究センター
常務取締役
マッシモ・イントロヴィーネ氏
同委員会で発表したイタリアの社会学者で新興宗教研究センター(CESNUR)常務取締役のマッシモ・イントロヴィーネ氏は、本誌の取材に対し、こう語る。
「2013年から全能神教会について研究してきました。その結果、マスコミやインターネットなどに流れている同教会に対する批判のほとんどは事実無根であることが分かりました。同教会は、中国政府に『邪教』というレッテルを貼られ、不当に弾圧されています」
全能神教会は1991年に中国で設立された。現在、世界各国にいる信者は、合計で400万人を超えるともいわれる。
トップは神の言葉を最初に受けたといわれる趙維山氏で、現在はアメリカに住んでいる。同教会が「主イエスの再臨」とする女性も現在はアメリカ在住だ。
同教会は、気功集団「法輪功」と同様に、設立した時から中国共産党に弾圧されてきた。特に、95年に中国公安部が公式文書を発表し、全能神教会などのキリスト教系新興宗教を「邪教」としてからは、弾圧は激しさを増していった。
全能神教会がインターネット上で公開している資料には次のように書かれている。
「2011年から13年のわずか2年間で、中国本土の全能神教会の信者の38万人以上が中国共産党に拘留、投獄された。
また、3万軒を超える家が警察に強制捜査され、少なくとも10億人民元(約170億円)が押収された。4万人以上がいかさま裁判の結果、さまざまな拷問を受けた。中国共産党によって殺された信者は、証拠書類がある人だけで、少なくとも44人はいる」
事件をねつ造して弾圧
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