2018年3月号記事
強いニッポンの製造業再び
未来ビジネスのつくり方
アインシュタインもびっくり!
シャープの買収、東芝の債務超過、神戸製鋼や東レなどのデータ改ざん―。
日本の製造業に異変が起きている。強さと信頼を取り戻す道はあるのか。
(編集部 大塚紘子、山本泉、片岡眞有子/協力 HSU未来産業学部)
contents
未来ビジネスのつくり方 - 強いニッポンの製造業再び - アインシュタインもびっくり!
これまで日本の製造業は、誠実かつ勤勉な仕事で製品の品質を上げ、世界一の信頼を築いてきた。それは「資源の少ない日本が国際社会で生き残るには、技術立国しかない」と汗を流してきた先人たちが築き上げたものだ。
現在、市場拡大中のスマホに1台につき約400~800個使われている電子部品で、村田製作所は圧倒的な技術力を持っている。この部品の世界シェアは約4割だ(*1)。
iPhoneの売りの一つであるカメラの心臓部にも、ソニーのイメージセンサーが使われており、こちらの部品も世界シェア約4割を占める(*2)。
スマホ製造で優位に立つ米中韓も、日本の部品なしには製品をつくれないというわけだ。
また、アメリカ最大の旅客機メーカー、ボーイング社の最新機種787は、東レの炭素繊維を使って軽量化に成功した。
炭素繊維を使ったプラスチックは金属よりも軽くて丈夫な、将来有望な素材。この分野で、日本企業3社の世界シェアは7割にも上る(*3)。
日本人が心に描く未来は?
不思議なのは、これだけの高い技術力を持っていながら、日本生まれの産業が見当たらないことだ。生き残りをかけて技術立国を目指してきたが、大きな構想は描けていなかったからかもしれない。
結局、 日本の未来は、日本人一人ひとりが心の中にどんな未来を描くかにかかっている。そんな視点で、製造業で問題が起きている現実をとらえ直してみると、今という時代は、技術立国の"その先"を目指すべき転換点に見えてくる 。
日本には、未来の産業をつくり出す力があるはずだ。ピンチをチャンスに変える、未来ビジネスのヒントを探る。
(*1)村田製作所のホームページより。
(*2)2017年12月20日付ロイター電子版。
(*3)2017年7月7日付日本経済新聞電子版。
新産業が生まれるとき そこには人の心を揺さぶる夢があった
SFがリアルになる日 誰もが空を飛び宇宙に行ける時代