2017年12月号記事

「金正恩後」に起きること

アメリカが統治? 中国も崩壊? 日本は?

アメリカが軍事行動を起こし、北朝鮮の体制が崩壊した場合、どのような状況が生まれるか。そして、日本はどう対応すべきか。

(編集部 山下格史、小林真由美/写真 岡本淳志)

アメリカが北朝鮮に軍事制裁する可能性が高まっている。もちろん、北の出方で時期も変わるだろう(10月18日時点)。

トランプ米大統領は10月に入り、「嵐の前の静けさだ」「たった一つのことだけが有効だ」などと含みのある発言を繰り返した。前後して、マティス国防長官は会見で、「ソウルを重大な危険にさらさずに」軍事的な対応が可能だと語っている。

トランプ氏は11月上旬から中旬にかけて、日本、韓国、中国、ベトナム、フィリピンを訪れ、首脳会談や国際会議に臨む。もし、この時期に北が動きを見せればどうなるか―。

備えあれば憂いなし。少し気が早いかもしれないが、実際にアメリカが軍事行動を起こし、北朝鮮の金正恩体制が崩壊した場合、どのような状況が生まれ、それに日本はどう対応し、今後どのような国際秩序を創り出すべきか考えた。


contents


Part1

Q.北の崩壊後、難民が押し寄せてきたら?

朝鮮半島有事の際、まず気になるのは難民の問題だ。

1 韓国だけではもたない

韓国には、北朝鮮の崩壊後70日間は韓国一国で持ちこたえ、その後は国際社会の支援を仰ぐ計画があるという。

まず、道路や鉄道などの一般使用を禁じて難民を輸送し、閉鎖した韓国北部の学校の校舎に収容する。難民が膨れ上がれば、それを韓国全土へと広げていく。

飢餓状態が多いと思われる人々への医療や食糧の提供に始まり、衣服、寝具、石けん、歯ブラシなどの日用品も必要だ。シャワーやトイレ、洗濯などの衛生管理も含め、時間が経つにつれて対策は複雑になる。

実際は韓国に70日間を乗り切る食糧の備蓄はないと言われており、早い段階で国際社会の協力が必要になるだろう。

次ページからのポイント

日本にも多くの難民が来る

日本も早急に難民対策を