2017年10月号記事
「監視社会」のリアル
あなたのスマホは見られている Part.1
現代社会では、ネットやスマホが生活必需品になり、大量のデータが全世界を駆け巡っている。
もし、それを覗き見している人がいるとしたら、あなたはどう思うか。
(編集部 山本慧、長華子、小川佳世子)
contents
「監視社会」のリアル あなたのスマホは見られている Part.1
日本もこうなる!? ここまで来た世界の監視
ピース写真をSNSに投稿すれば、 指紋が簡単に複製される
ウェブカメラやスマホの カメラは、遠隔操作で作動できる
ロシアでは、アメリカ、フランス、日本などの120を超える国々の 防犯カメラの映像が、リアルタイムで流れている
グーグルは、ユーザーの メールの内容を見ていた
「津波」「電気」「ガス」「インフラ」「中国」「攻撃」などの言葉を SNSにつぶやけば、監視対象になる
ツイッターに「アメリカに着いたらひと暴れしよう」と 冗談をつぶやいたら、アメリカの空港で捕まった
アメリカの空港で家族3人が、職員に引き留められた。理由は、子供がテロリストのリストに載っていたためだ。
だが、 子供は生後11カ月の赤ん坊だった
アメリカで 左翼的な本や性的少数者の本を買った消費者が、警察に事情聴取を受けた
アメリカ人男性が、 テロリストのリストに載っていた人物と同姓同名であったため、 就職面接の経歴チェックに引っ掛かり、 不採用となった
出典:『アメリカから〈自由〉が消える』(堤未果著 扶桑社新書)ほか。
写真:Christian Bertrand / Shutterstock.com、charnsitr / Shutterstock.com、Sean Pavone / Shutterstock.com
「フェイスブックはあなたが誰であるか、アマゾンは何を買いたいか、グーグルは何を考えているかを明らかにする」(歴史家のジョージ・ダイソン著『Turing's Cathedral』)
世界中の人が毎日のように利用するグーグル、フェイスブック、アマゾンなどのITサービス。近年、「政府が数社のIT情報を集約するだけで、個人の行動を予測できる」という危険性を指摘する声が上がっている。
グーグルに嘘はつかない
誰もグーグルの検索欄に嘘をつかない。不倫や借金、病歴、趣味などを検索すれば、グーグルは、検索履歴とサイトの閲覧履歴を永久保存している。
フェイスブックは、「いいね」の履歴や友人へのメッセージでユーザーの思想信条や、交友関係の親密さを把握できる。
スマホのアプリを使えば、所有者の位置情報が発信され、どのコースをランニングし、何時ごろに就寝しているかなどの行動パターンも予測される。
さらに、ネットのサービス加入時の誓約書に同意すれば、企業はタダ同然で個人情報を転売できる。第三者が家族以上にあなたのことを知ることになる。
「東京都30代男性というように、個人情報が匿名化されているから安全だ」という見方もあるが、多数の情報を組み合わせれば、個人を特定することは難しくない。
ITの進歩により、生活は便利になった。だがその代償に、個人のネット上の言動は常に誰かに見られ、実害も生じている(上事例)。政府がこうした莫大な個人情報を入手すれば、プライバシーは危機的状況になる。
「何も悪いことをしていないから大丈夫」と思いたいが、善良な市民であっても、監視されている。次ページより、監視社会の闇に迫る。
NSAの恐ろしい監視体制
監視社会に近づく日本
捜査権限は拡大の一途