米空母の上に立ち並ぶ戦闘機。 写真:AP/アフロ
2017年6月号記事
ニュースのミカタ 1
国際
アメリカと北朝鮮が臨戦態勢
暴走止まらぬ金正恩
トランプは正義を貫くか
アメリカと北朝鮮が朝鮮半島でにらみ合い、"臨戦態勢"に突入しています。
北朝鮮は現在、米本土に届く核ミサイルの開発を目指し、着々とその性能を高めています。
昨年9月に行われた5回目の核実験では、弾道ミサイルに搭載できるレベルまで核の小型化に成功したとみられています。
今年3月には、エンジンの燃焼実験に成功。 米本土まで届く新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の完成が現実味を帯びてきました。 さらに潜水艦から発射する弾道ミサイル(SLBM)も開発中です。
また、世界中を挑発するかのようにミサイル発射実験を繰り返し、その頻度は増える一方です。3月には日本海に向けて4発を発射。1発はこれまでのミサイルで日本本土に最も近い海域に落下しました。
故・金日成主席の生誕105年記念となる4月15日に行われた軍事パレードでは新型ミサイルを見せつけ、「アメリカによる先制攻撃の兆候があれば、米国に核攻撃する」と脅しています。
中国を動かしたいアメリカ
トランプ政権にとって許しがたいことは、北朝鮮が核実験やミサイル発射実験を繰り返し、米本土に届く可能性のあるミサイルを開発・保有することです。
トランプ氏は4月中旬、化学兵器を自国民に使ったとみられるシリアのアサド政権に対して実際にミサイル攻撃を行いました。「一定のラインを越えたら許容しない」という姿勢を行動で示したことは、北朝鮮や中国にも大きな影響を与えています。
とはいえ北朝鮮は、アメリカや韓国、日本への反撃能力を持つ点で、シリアとは根本的に異なります。だからこそトランプ氏は、北朝鮮に原油や食糧などを支援する中国に、北朝鮮への圧力強化を促しています。
非協力的な中国に対して、トランプ氏は「中国が協力しなければ、我々は独力で問題を解決する」と表明し、追い打ちをかけることも忘れませんでした。
トランプ氏は、原子力空母「カール・ビンソン」を中心とする米軍の強力な艦隊を朝鮮半島近海に配備予定です(4月18日時点)。米海軍特殊部隊「SEALS」の支援船も沖縄に寄港し、いつでも作戦を実行できる態勢に向かっています。
悪を押しとどめる「正義」
現在、トランプ政権は究極の選択を迫られています。
このまま北朝鮮の核ミサイル開発を許せば、何百万、何千万人の米国民を人質に取られてしまう。しかし、それを防ぐためにミサイル施設を爆撃すれば、北朝鮮の暴発を招きかねません。韓国はもちろん、在日米軍や日本国民にも被害が及ぶ可能性があります。
最悪の場合、第2次朝鮮戦争が勃発すれば、米軍が約5万人、韓国軍が約50万人犠牲になり、民間人を加えれば死傷者数は100万人以上になるとの試算もあります(米韓軍の軍事作戦「作戦計画5027」より)。
トランプ氏は安倍晋三首相に、「北朝鮮への攻撃については事前に相談する」と伝えてはいますが、日本が何を言っても判断を変えることはないでしょう。
神や正義という言葉を多用するトランプ氏は、米国民の安全はもちろん、国際正義を守るためにも、金正恩氏のような異常な指導者を野放しにはしておかないはずです。
日本の政治リーダーは単にアメリカに付いて行くことばかりを考えるのではなく、 国民の命を守るために日本独自でできることを考え、国防体制を強化すべきです。
Column
金正男氏の霊が「金正恩体制の崩壊」を望んでいる?
北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長の異母兄の金正男氏が3月、マレーシアで暗殺されました。
霊となった正男氏は4月10日、大川隆法・幸福の科学総裁のもとを訪れました。
正男氏の霊は殺された理由を、「中国がわしを傀儡政権にしようとしていると思って殺された」と述べました。正男氏を北朝鮮の権力者に担ぎ、傀儡政権化しようとした中国に対し、北朝鮮がストップをかけたということでしょうか。両国の関係は必ずしも良好とは言えないのかもしれません。
他にも、「自分には日本人の家庭教師がいた」と、拉致被害者との関連性をにおわせる発言も。最後に、「(アメリカは)シリア攻撃しないで北朝鮮攻撃しないと」と、金正恩体制の崩壊を暗に望んでいるかのようなことも口走っていました。