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《本記事のポイント》
- インドのモディ首相が、世界投資サミットでインドへの投資を呼び掛けた。
- 国が発展するためには、資本やビジネスの誘致だけではなく、国内産業の創出が不可欠。
- 「自助努力の精神」によって、インドは一流国となることができる。
インド・グジャラート州で10日、「世界投資サミット」が開幕した。同サミットでは、インドのモディ首相も30分ほどのスピーチを行い、インド主要紙が報じた。
モディ首相は、近いうちにインドが建設業界において世界最大の市場となると述べ、世界中の投資家に投資を呼び掛けた。「ビジネスができる環境を整えること、そして投資を誘致すること、それが私の最優先事項である」と語り、インドにビジネスを呼び込み、海外からの投資を促進するという国家ビジョンを示した。
国内で産業を興す
同サミットには、訪印中の世耕弘成経済産業相も参加した。2016年11月に日印で原子力協定が結ばれたことを受け、インドへの原発輸出を促進したい考えだ。
原発技術を通しての日印の関係強化自体は、本欄でも述べてきたように、中国の覇権主義に対抗する意味において非常に重要だ。
しかし、海外からの投資とビジネスの誘致に頼るだけでは、インドが真に国を富ませ「大国」となることは難しいだろう。
国を富ますには国内で産業を興すことが不可欠だ。自国で産業を興して資本をつくり、雇用を生みだせる人材がいてこそ、経済レベルも上がる。日本が経済大国となり得たのも、一重に、智慧を絞り、汗を流し、新たな産業を考え立ち上げた人々がいたからに他ならない。
貧困や宗教対立、カースト、政治の腐敗、インフラの未整備など、インドが抱える問題は多岐に渡る。それらの諸問題を解決し、大国へと成長するためには、国内で産業が興らなければ、万が一、外資が逃げ出した場合、国の経済は一気に衰退していく。今後、いかに国内で産業を興していくかが問われる。
一流国に必要とされる「自助努力の精神」
大川隆法・幸福の科学総裁は、国の発展について『繁栄への決断』で以下のように指摘した。
「 途上国が高度な発展をするためには、要するに『教育投資』と『産業のインフラ投資』、それから、『犯罪等の抑止』といったことをしないかぎり、一流国にはなりません。そうした努力を伴わず、貿易だけで経済黒字を出そうとしても、それは続かないものになるでしょう 」
インドはIT事業の発展が著しいが、いまだ、全土に教育やインフラ整備は行き届いているわけではない。これにより、産業の開発および発展は遅れている。
それに加え、カースト差別や女性蔑視による犯罪行為も今なお根強く残っている。インドがこれらの問題を乗り越え、一流国となるためには、国民一人ひとりが自分自身の力で道を切り開く「自助努力の精神」を持つ必要がある。
モディ首相は、国内のインフラを整えるべく投資を呼び掛けているのだろうが、インフラ整備をした後も発展を続けていくためには、インド全土に「自助努力の精神」を浸透させ、産業の発明やモラルの向上を目指さなければならない。
モディ首相はスピーチのなかで、インドの強みを「人口(Demography)、民主主義(Democracy)、需要(Demand)」の「3Ds」だと述べた。モディ首相はこれらを投資やビジネスを呼び込むための強みとしてアピールしたが、確かに、12億以上の人口を誇る民主主義国家が、「自助努力」によって一流国へと発展すれば、世界へ及ぼす影響は計り知れない。
世界のさらなる発展のためにも、インド全体が、他力型から自力型へと変革することが求められている。
(片岡眞有子)
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