トランプ氏の意向を受け、米空調大手企業が海外への工場移転を取りやめた。写真:The New York Times/アフロ
2017年2月号記事
TPPアメリカ離脱で日本はどうする?
見えてきたトランプの大戦略
ドナルド・トランプ氏は、1月の大統領就任後、TPPを離脱宣言すると予告している。
中国の軍拡を止める経済的な包囲網がつくれなくなる日本はどうすべきか。
(編集部 山下格史 山本泉)
2017年1月20日、アメリカでドナルド・トランプ新政権が発足する。
トランプ氏は大統領選で当選した後、就任初日に環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の離脱を通告する、と予告。関係国を慌てさせている。
一方日本では、16年12月の臨時国会で、TPPの承認案・関連法案が成立。安倍晋三首相は「TPPの持つ戦略的、経済的な意義を世界に発信していくことは大いに意味がある」と語った。
確かに、TPPには「中国包囲網」という安全保障としての役割があった。中国は、アジアインフラ投資銀行(AIIB)などを通して、経済力を軍事力に変える戦略を描く。TPPは、この中国を外して、環太平洋地域の国々で関税をなくし、活発な貿易を目指すものだ。
ここに来て、日米の考えに溝が生まれている。今後日本はどうすべきか。
「戦わずして勝つ兵糧攻め」
関税自主権という武器
TPPに代わる対中戦略
日米の繁栄が中国を止める
アメリカの経済・軍事は復活する / 鈴木真実哉氏