中国で、人権派の弁護士が出張先で失踪する事件が起きた。

失踪したのは、中国の著名な人権派弁護士・江天勇氏(45)。江氏は、国家政権転覆煽動容疑で逮捕された人権派弁護士の家族と面会するために湖南省長沙市を訪問しており、21日夜に訪問先から北京行きの列車に乗った際に妻と電話した後、連絡が取れなくなった。

江氏は、昨年、多数の人権派弁護士らが一斉連行された際、中国当局を強く批判し、盲目の人権活動家、陳光誠氏の支援なども行っていた。当局からの弾圧にも屈せず人権活動を続け、国外からも注目されていた人物だ。

昨年7月から中国当局は各地で約300人に及ぶ人権派弁護士や活動家らを連行し、今年7月の時点でも23人を拘束し続けていた。事件当時、中国官製メディアの国営中央テレビなどは拘束された一部の弁護士らを「政府を攻撃した」として非難し、大量連行は弁護士らのネットワーク壊滅を目的とした一斉摘発だとしていた。

11月に弁護士に対する規制が強化された

中国当局による言論弾圧は留まる気配を見せない。

今月1日には、弁護士事務所と弁護士に関連する規則が改定、施行されている。

規則の内容は、ヒューマン・ライツ・ウォッチ(10月26日付)によると、「共産党指導部への支持」「(弁護士)事務所内の党指導部開設の義務」「基本的政治体制の拒否や治安の脅威になる意見の表明の禁止」などだという。

また産経ニュース(10月13日付)によると、当局施設周辺での座り込み、横断幕の掲揚、シュプレヒコール、建物の取り囲みなどが禁じられることになり、施行前の10月13日の段階で168人の弁護士が撤廃を求める意見書を政府に送るなど、抗議活動が行われていた。

中国に経済戦争を仕掛けるトランプ

中国は、中国製品に高関税を課すと明言し、貿易戦争を仕掛けると見られるドナルド・トランプ氏がアメリカ大統領選で当選したことで、経済面での危機感を強めている。経済が低迷すれば反政府の動きにつながりかねないため、ますます言論弾圧は厳しさを増すだろう。

日本は、アメリカ、ロシアなど各国と協力して経済面、軍事面で中国包囲網をつくっていくことで、中国の一刻も早い民主化を促していく必要がある。(祐)

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