世界におけるアメリカの役割の大きさを再認識するデータが発表された。
アメリカのピュー・リサーチ・センターが、国際社会や国内問題に関する中国人の見方を調査したデータを発表した。10月6日付ウォール・ストリート・ジャーナル紙が報じた。
調査では、
「領土問題は軍事衝突に発展しうるか」
「アメリカに対するイメージ」
「国際社会に対する考え」
などに関する、中国の人々の意識がグラフを用いてまとめられている。
データの中で注目に値するのは、「10年前と比べ中国が国際社会で重要な役割を果たすようになっている」と答えた人が75%を超えており、「アメリカが、中国がより影響力を持つことを妨げている」という意見が52%、「アメリカのパワーと影響力は大きな脅威だ」と答えた人が45%にのぼったということだ。
現在行われている大統領選挙では、TPPへの反対や、安全保障面での軍の引き上げなど、アメリカの孤立主義を訴える論調が強い。しかし、調査結果にも現れているように、アメリカの存在は中国の軍事覇権拡大の妨げになっていると認識されている。もしアメリカが影響力を弱めて自国中心主義に走れば、中国の覇権主義の歯止めがなくなってしまう。
今回の調査は、アメリカの孤立主義を見直す必要性を強く感じさせる。
また、同センターは中国、インド、EU、アメリカに対し、「自分の国は他の国々の抱える問題の解決に取り組み、他国を助けるべきか」という調査も実施しており、「他国を助けるべき」と答えた中国人は22%にとどまった。
中国が他国に興味を持てないのは、大気汚染や食糧問題、政治腐敗や経済格差といった自国の内部問題が山積みであるからだろう。大国を名乗るのならば、国民の幸福を実現するための自国の政治、経済制度の見直しと、国際社会への責任について考えていくことが求められる。
当面アメリカが、「偉大な」力を持っている国でありつづけることは、中国の改革を促し、世界の問題を解決する役割を担う上で重要だ。もちろん日本も自国のことばかりに集中することは許されない。アメリカと協力し、アジアの平和を守るために努力していくべきだ。(祐)
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