今年に入って、北朝鮮のミサイル発射や核実験が立て続けに行われている。
この北朝鮮の横暴にどのように対応したらよいか。ニューヨーク・タイムズ紙(14日付)に、"How to stop North Korea"と題する論説が掲載された。
この論説は朝鮮半島の核問題を担当した米大使のアドバイザーを務めた経歴を持つ専門家によるもので、内容の概要は以下の通り。
- 北朝鮮のミサイル発射や核実験といった実験は後三回ほど可能性があり、次回は最初の核実験から10周年に当たる10月9日の可能性がある。
- 研究者らは「2020年までに北朝鮮はアメリカを射程に入れた大陸間弾道ミサイルを完成させる」と予測しているが、実際はもっと早く事態が進行している恐れがある。
- いままでアメリカは北朝鮮と近い関係にある中国が問題を解決してくれるという間違った見方をしていたが、中国は、北朝鮮を米に対する緩衝地帯として使う戦略を優先している。これから北朝鮮問題を解決する上ではアメリカ自身の力が必要不可欠である。
- 北朝鮮は経済援助を引き出すことを見越して核開発の圧を意図的に下げており、北朝鮮とのさらなる対話政策が重要となってくる。
- アメリカの次期政府には、中国を怒らせるような決定や、経済制裁の強化などあらゆる手段を採っていく意思が求められる。残された時間はそう長くはない。
論説が指摘する通り、北朝鮮の脅威は今年に入ってさらに強まっている。
また、中国と北朝鮮は強くつながっている。9月9日に行われた5回目の核実験を前に、北朝鮮は中国に対して「米韓の軍事行動計画に対抗するため、核開発を進めなくてはいけない」と説明し、理解を得ようとしていたという。(13日付朝日新聞)
このことからも、北朝鮮問題解決のためには、中国ではなくアメリカがリーダーシップを取る必要があるという考え方は的を射ている。しかし、北朝鮮と対話をすすめるべきとの考えには疑問が残る。
北朝鮮は、対話が通じる相手ではない。経済支援を得るために一時的に対話に応じることはあっても、核開発、軍事開発を着々と進めてきた。
2005年にも、六者会合で核開発計画の放棄を宣言したにもかかわらず、翌年には弾道ミサイル発射実験、核実験を行うなどしている。金正恩体制に変わり、軍事実験の頻度の増した北朝鮮は、以前にも増して対話の通じない相手になってきている。
アメリカの次期大統領には、対話や合意で妥協するのではなく、より現状に即した北朝鮮問題への対応が求められるだろう。
日本も「強い非難」などではなく、もう少し現実性、具体性のある議論に踏み込む必要がある。
韓国は、高まる北朝鮮の核脅威に対して手を打ち始めている。5月に行われた米韓の防衛協議で、アメリカとの核兵器の共同管理に言及したという(朝日新聞14日付)。それに対してアメリカはオバマ政権の「核なき世界」の政策を持ち出し、共同管理には否定的な見方を示したという。
アメリカは現在NATO加盟国のベルギー、ドイツ、イタリア、オランダの四カ国と核兵器の共同管理を行っているが、防衛協議の際、NATOとの共同管理も削減していく方向を示した。
韓国では核武装論が再燃しており、その緩和のために核の共同管理を提案したというが、もはや話し合いだけでは現在の脅威には対応できないことを理解しているのだろう。
日本も抑止力としての核装備を検討すべきだが、すぐにできないならば、日米韓による核の共同管理などを提案し、具体的な手を打っていかなくてはならない。(祐)
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