今年11月に決着を待つ米大統領選。共和党、民主党両陣営の戦いも激しくなっている。

民主党候補ヒラリー・クリントン氏の陣営は、共和党候補のドナルド・トランプ氏のイメージダウンを狙うCM戦略に出ている。トランプ氏をKKK(クー・クルックス・クラン)などの白人至上主義団体と結びつける内容だ。「人種現実主義」を唱えるジャレッド・テイラー氏がトランプ支持を表明したことを槍玉に挙げ、トランプ氏を「人種主義者」として批判している(3日付産経新聞)。

ちなみに皮肉な事に、ヒラリー氏もKKKから「支持」の表明を受けている。KKKの上位メンバーであるウィル・クイック氏は今年3月、英デイリー・テレグラフ紙のインタビューに、「ヒラリーは民衆には1つのことしか言わないが、隠れた計画を持っている。大統領になってしまえば、それを明らかにしてくれるだろう」と答えていた。

両陣営とも、KKKとのつながりを、イメージダウンにつながるとして警戒している。そんな中、保守的な移民政策を示すトランプ氏は、「人種差別的」と批判されることも多く、有色人種からの支持も広がっていない。ヒラリー氏はそこに集中砲火することで、トランプ氏の支持率を下げるという狙いだ。

レッテル張りに終始する候補者やメディア

しかし、「移民の受け入れを厳しくする」というトランプ氏の政策は、アメリカが現実的に抱える問題に対応したものである。

トランプ氏が問題視しているのは「不法移民」であり、彼が白人至上主義者というわけではない。そこには、アメリカに多数の移民が押し寄せて自国の市民が少数派になれば、雇用や治安が脅かされるという危惧がある。実際に、トランプ氏は当選の暁には、イスラム教徒を政権に入れるという考えも示している。

もちろん、トランプ氏には「国境の壁」発言など、暴言ともとれる発言は少なからずある。ただ、メディアの報道は、トランプの失言ばかりにフォーカスするような偏ったものであることが多い。

「人種差別」は、アメリカが長く向き合ってきた問題である。白人警察官による黒人の射殺事件など、今なお存在する人種差別の影を乗り越えることは、アメリカの課題であろう。世論が過敏になることも当然のことだ。

だからこそ、表面的な部分のみをとっての偏向報道や、レッテル張りに左右されるのは問題だろう。移民政策や対外政策においても、大統領に誰がふさわしいかを考える上では、両者の提示する政策の本質を見極める目を持っての判断が必要である。(片)

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