アメリカの銃の問題は解決の兆しが見えない。

中西部カンザス州にある芝刈り機製造工場などで25日、銃撃事件があり、地元警察は3人が死亡、14人が負傷したと発表した。20日には中西部ミシガン州にあるハイヤー配車サービス会社の運転手が6人を殺害した銃撃事件が起きたばかりだ。

先進国の中でも異常な銃社会

毎年、およそ3万人の米国民が、銃による自殺、殺人、および事故で死亡している。今年に入ってからアメリカで起きた銃による事件や事故で死亡した人は、すでに1800人に上るという。この数は先進国の中でも異常と言わざるを得ない。

オバマ大統領は就任当初から銃の規制強化を訴えてきたが、野党の共和党は規制に消極的で、全米ライフル協会(NRA)などのアメリカの圧力団体の存在もあり、法整備はなかなか進まない。

大統領選の争点である銃規制問題

現在のアメリカ大統領選挙でも、銃規制問題は争点となっている。

民主党候補のクリントン氏は銃対策を強調し、サンダース氏は言葉を慎重に選びながらも、「良心的な」銃関連法の制定を訴えている。

その一方で、共和党候補のトランプ氏は「銃乱射を止めるのは銃」と、銃規制に反対した。クルーズ氏は「個人の権利には銃の所有の権利も含まれる」と述べており、ルビオ氏も「銃規制法によって事件が防げたといえる証拠はない」と述べるなど、銃規制への慎重姿勢を示している。

なぜ、アメリカで銃を規制することがそれほど難しいのか。

大川隆法・幸福の科学総裁は、このほど発刊した著書『現代の正義論』で次のように解説する。

アメリカでは独立以降、フロンティアを目指して西に進んでいくときに、ネイティブ・アメリカンとの戦いが数多くあったので、銃で自分や家族を護るというのは当然の権利でした。(中略)アメリカはそうした国ですから、銃の規制として、日本のように登録制にし、誰が持ったか、誰が買ったかということが分かるようにしていくとなると、やはり、今までの基本的な自由が奪われることになります。そのため、大統領が泣きながらやらなければいけないような事態になっているわけです

これほど銃撃事件が連発していても銃規制が進まない背景には、アメリカ人が最も大事にする「自由」や「権利」を守りたいという事情がある。また、アメリカ中東のさまざまなところで戦争に介入しているため、それによる報復テロの脅威が高まっていることも、銃規制に反対する国民を増やしている。

法律で解決できない問題に必要な宗教の教え

銃規制法などの法律を制定しても、銃を使う「動機」の部分が解消できなければ、銃以外の別の形で表れてくるだけだ。銃社会の問題を根本的に解決するためには、人々の争いや憎しみの気持ちを乗り越える宗教の教えが必要だ。(真)

【関連書籍】

幸福の科学出版 『正義の法』 大川隆法著

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幸福の科学出版 『現代の正義論』 大川隆法著

https://www.irhpress.co.jp/products/detail.php?product_id=1630

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