政府は、増え続ける外国人介護人材の活躍の幅を広げようとしている――。
厚生労働省は、経済連携協定(EPA)で受け入れた外国人介護人材で、介護福祉士の資格取得者に対し、現在より働ける場を拡大することなどを検討している。これが実現すれば、外国人が新たに訪問系のサービスでも働けるようになる。
これまで外国人は、特別養護老人ホームなどの施設でしか働くことができなかった。だが、今後も続く介護需要の増加を見すえ、外国人が資格を取れば、日本人の介護福祉士と同様に働けるように、労働現場の制限を撤廃する。解禁は2017年度になる可能性が高いという。
厚労省の試算では、2020年代初頭には、約231万人の介護職員が必要になるが、このままでは、25万人の労働力が不足するとされている。国内人材の確保や育成とともに、親日的で技能を持つ外国人が活躍することは、日本にとって歓迎すべきことだ。
外国人職員の印象は8割「良好」
厚生労働省が1月に行った「外国人介護人材受入れの在り方に関する検討会」では、介護福祉士になるため、施設で働きながら勉強している外国人に対する職員や利用者、その家族の反応が報告された。これによると、そのうちの8割が、外国人への印象が「良好」、または「おおむね良好」と回答した。
一方で、他の調査によれば、「日本人利用者から差別を受けた」と答えた外国人もいたという。国際化や人口減少が進む日本には、外国人の労働環境を変え、「親日移民」の実現に向けた着実な取り組みが必要だ。
そのためには、外国人職員を単なる労働力ではなく、人的資源にするために、異文化コミュニケーション教育や、外国人研修の充実、地域における多文化共生の態勢づくりなどが必須だろう。
(HS政経塾 表奈就子)
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