中国軍の侵出で、南シナ海が「中国の海」になりつつある。
南シナ海に中国の脅威が及ぶ中で、米カリフォルニア州で行われていた、初の米ASEAN首脳会議が16日、閉幕した。
「航行と飛行の自由」「紛争の平和的解決」などを盛り込んだ共同声明を出したが、ASEANの一部の中国寄りの国による反対で、「中国」や「南シナ海」といった文言が明記されず、中途半端な決着に終わった。
報道によると、声明の草案の段階から、アメリカ自身がASEAN諸国に配慮して、「中国」の名指しを避けたという。
中国外相「完全に主権国家の自衛権だ」
こうした対応をあざ笑うかのように、中国が南シナ海のパラセル(西沙)諸島にミサイルを配備していたことが分かった。
米FOXニュースは16日、ここ1週間のうちに、パラセル諸島のウッディー島に、中国軍が、地対空ミサイル8基配備したと報道。中国の王毅外相は、「完全に主権国家の自衛権だ」と強弁した。
1月末、南シナ海の島に滑走路をつくる中国に対し、米海軍はイージス艦を派遣し、けん制した。だが今回のミサイル配備を見れば、もはや、アメリカのにらみが、中国には利かなくなっていることは明らかだ。
存在感のない日本は大丈夫か!?
冒頭の会合でも分かるが、南シナ海をめぐる問題で、利害関係にあるにもかかわらず、ほとんど存在感がない国がある。日本だ。
この海域は、日本に輸入されている石油などの物資が、日々、行き来している海上交通路(シーレーン)であり、生命線と言える。また、この海域が完全に中国の手に落ち、米軍が近づけなくなれば、必然的に日本は中国の手に落ちる。
3月末には、安全保障関連法が施行される予定だが、日本はこの海域における紛争を想定し、一定の備えをしておかなければならない。
アメリカやASEAN諸国と連携し、艦船や哨戒機を出して、中国へのにらみを利かせる。ASEANの友好国に防衛装備を輸出したり、積極的に防衛に関する人材育成に協力し、「アジアの警察官」の一翼を担う。そうした覚悟が必要になってくるだろう。
(HS政経塾 表奈就子)
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