自民党と公明党は27日、集団的自衛権の行使容認を主題とする「安全保障法制整備に関する与党協議会」(座長:高村正彦・自民党副総裁)の会合で、両党の熾烈な綱引きを繰り広げた。

今回の会合で自民党は、政府が示した安全保障法制の課題事例(米国に向かうミサイル迎撃や米艦防護など)の15事例と1参考事例のうち、有事に至らない「グレーゾーン事態」(3事例と1参考事例が該当)で、公明党との合意を目指した。

しかし、集団的自衛権の議論を遅らせたい公明党の思惑もあり、両党の協議は初めの2事例の議論にとどまり、合意には至らなかった。

与党協議会の座長代理を務める、公明党の北側一雄副代表は会合後、「事例は運用にかかわる問題が多い。何らかの法制が必要とは現時点で考えない」と述べ、座長を務める自民党の高村正彦副総裁は「(両党の)認識が一致したとは必ずしもいえない」と語った。来月3日には、第3回の与党協議会が予定されており、集団的自衛権の議論に慎重な公明党の協議への対応が注目される。

大川隆法・幸福の科学総裁は5月17日に行った法話「愛が時代を動かす」の中で、公明党について「『自民党のブレーキ役を果たす』と称して、票を稼いだのは結構だけども、物事が進まない、今は障害になっているのではないか」と指摘。また、集団的自衛権の行使容認を急ぐべき理由として、日本の尖閣諸島有事のみならず「中国とベトナム、フィリピンの戦争がいつ始まってもおかしくない」と緊迫する国際情勢を挙げた。

南シナ海では、特に中国とベトナムの間で、衝突を繰り返している。26日には、パラセル(西沙)諸島で、ベトナム漁船1隻が、中国漁船約40隻に囲まれ、体当たりされて沈没。現場海域では翌27日も、中国船・ベトナムの双方で100隻を超える船がにらみ合い、一触即発の状態が続いている。

上記法話の中で、大川総裁は、不法な攻撃を受けた周辺国を救うためにアメリカが戦っているとき、日本が「集団的自衛権の行使が認められていない」という理由で何も行動しなければ、「近隣諸国の日本に対する不信感が生まれ、ASEANのリーダーとしての日本への信頼感は、大きく失われていく」と警告している。

もちろん、日本は有事の際に、東南アジアなどの海外に進出している日系企業を保護する必要にも迫られる。日本人の生命や安全が危機に陥ってからでは遅い。

憲法9条を改正するのが本筋ではあるが、現状はのんびりと憲法改正の手続きを行う状況にはない。自民・公明の両党は、協議を加速させ、集団的自衛権の行使容認への対応を早急に行うべきである。(HS政経塾 松澤力)

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