北朝鮮軍は22日、韓国との軍事境界線近くにある延坪島近海に2発の砲撃を行った。その砲弾が、哨戒活動を行っていた韓国軍艦艇からわずか150メートルの位置に着弾した。北朝鮮の砲撃は韓国軍艦艇を狙った意図的な挑発行動とみられ、韓国軍もこれに応戦した。
延坪島といえば2010年11月にも北朝鮮の砲撃事件が起こっている。北朝鮮軍が約170発もの砲弾を発射、そのうち80発が同島に着弾した。このとき韓国の海兵隊員2名、民間人2名が死亡、海兵隊員16名が重軽傷、民間人3名が軽傷を負うという被害が発生。住人1,300人には避難命令が出された。
最近、北朝鮮の軍事行動が激しさを増している。今年3月には北朝鮮が火砲や多連装砲など計約500発を発射し、うち約100発がNLLの韓国側海域に落下した。これに対し韓国軍は約300発を応射している。その他にも韓国の珍島沖での旅客船沈没事故に関しても北朝鮮の関与が疑われているように、北朝鮮と韓国はいつ交戦してもおかしくない一触即発の状態であることがわかる。
これらの事件を目の当たりにしたとき、北朝鮮という国はいつどのような軍事行動をとるか分からない国家だということも痛感させられる。
このような横暴とも言える北朝鮮が核を所持し、頻繁にミサイル実験を行っていることは脅威だ。
北朝鮮は06年、09年、13年に核実験を強行している。実験の爆発規模は研究機関(韓国・ロシア政府機関、 ノルウェー/NORSAR、米/核脅威削減評議会、独/連邦地質資源研究所など)の推定によると06年が0.5~15キロトン、09年が4~20キロトン、13年が7~40キロトンと確実に核実験が進んでいることが明らかとなっている。さらに韓国の専門家の分析では、北朝鮮がすでに核弾頭を弾道ミサイルに搭載した可能性も指摘されている。北朝鮮の動きがすでに楽観視できない域にまで達していることは間違いない。
朝鮮半島有事はいつ起こってもおかしくない目の前にある危機だ。しかし現状、朝鮮半島有事の際に集団的自衛権を行使できない日本は、軍事的行動をとることができない。安倍首相が先日の会見で挙げた「邦人輸送中の米艦船防護」の事例にあるように、日本が攻撃を受けていない場合では、日本人が乗っている米国船であっても、日本の自衛隊は守ることができない。また、朝鮮半島有事が発生しても在韓邦人を助けに行くこともできないのだ。主権国家なのに、自分の手足を縛っている状況だ。
北朝鮮という横暴国家を前に、日韓はしがらみを超えて連携する必要がある。そのためにも、集団的自衛権の行使容認は待ったなしだ。これは日本の自衛のためであると同時に、日本が国際社会の一員として役割を果たすために必要なことである。
(HS政経塾 数森圭吾)
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