普天間飛行場(Wikipediaより)。

米軍普天間飛行場がある沖縄県・宜野湾市の市長選挙が24日、投開票され、現職で自民党と公明党の推薦を受けた佐喜真淳(さきま・あつし)氏の当選が確実となった。

この選挙では、安倍政権が支援する佐喜真氏と、翁長雄志(おなが・たけし)沖縄県知事が支援する新人で元県職員の志村恵一郎氏の2人が立候補しており、米軍基地移設問題で対立する政府と沖縄県の縮図とも言える選挙戦だった。

違いは基地移設先の辺野古に言及しているかいないか

ただ、争点はわかりにくい。佐喜真氏、志村氏ともに普天間飛行場の危険を訴えていて、違いは、移設先の辺野古について言及しているかいないかだ。

佐喜真氏は、普天間飛行場の早期移設を訴えるとともに、現職としての実績を強調。辺野古については触れなかった。一方、志村氏は、無条件の基地閉鎖・撤去と移設反対を掲げてきた。

辺野古は名護市にあることを考えれば、辺野古について宜野湾市長が何かできるわけではない。全く触れないのも不自然ではあるが、日米関係の悪化にもつながる移設反対を市長選で訴えるのはおかしな話だ。

幸福党・金城氏「辺野古移設で県民の基地負担軽減と抑止力強化できる」

今年7月の参院選に沖縄選挙区で出馬する幸福実現党の金城竜郎氏は、宜野湾市長選についてこう語る。

「宜野湾市民の悲願は、普天間基地を移設すること。それは私の主張している通りのことでもあります。今後、普天間基地の危険性が除去されることを心から望んでいます」

「志村氏は、『辺野古に移設させない』と言っていますが、それは宜野湾市民に言うべきことではありません。辺野古には、なぜか志村氏を応援する旗が立っていて、座り込みの活動をしている人たちがいます。辺野古は名護市なのに、です。沖縄の美しい海を守ると言いながら、政治活動をしていることがわかります」

金城氏は、2009年の衆院選、2010年の参院選、沖縄県知事選にも出馬し、一貫して中国の脅威から尖閣諸島や沖縄を守ることを訴えてきた。「辺野古への移設は、県民の基地負担軽減と抑止力強化とを併せ持つ施策」であるとして、今月15日に行った出馬表明の記者会見でも沖縄防衛の重要性を訴えた。

本来ならば移設を説得する立場にある県知事

翁長沖縄県知事は、国連人権理事会で「沖縄県民の自己決定権」という言葉まで用いて、辺野古への移設反対を訴えてきたが、これを強く打ち出した志村氏が敗れたことは、移設反対があらゆる地域の民意とは言えないことを示している。

中国が南シナ海や尖閣諸島に触手をのばす中、本来ならば、人々の生命と財産の安全を守る立場にある県知事は、国防上重要な位置にある沖縄に米軍基地が存在することが、沖縄県のみならず日本の安全保障上重要なことだと説得しなければならない立場だ。

翁長知事はそろそろ、移設反対の"呪縛"から脱したほうがいい。普天間から辺野古へ、スムーズに基地移設が進むことを願いたい。

(大塚紘子)

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